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シャープ、過去最高の上期決算

佐治寛副社長

11月29日 発表


●過去最高の業績

 シャープは、2003年度上期決算を発表、液晶テレビや携帯電話、さらに、携帯電話向けのシステム液晶およびCCDなどの好調ぶりに支えられて、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のいずれもが上期としては過去最高の業績となった。

 また、これを受けて、同社では通期の業績予想を上方修正。7月時点での予想に比べて、売上高は1,000億円増の2兆2,500億円(前年比12%増)、営業利益は100億円増の1,200億円(前年比20%増)、経常利益は100億円増の1,100億円(前年比34%増)、当期純利益は70億円増の570億円(前年比74%増)とした。

 ほぼ一人勝ちと言ってよい好調さを、この上期でも見せつけた格好だ。

●携帯電話の通期売上計画を上方修正

 シャープの上期の連結決算は、売上高が前年同期比12.6%増の1兆938億円、営業利益が19.8%増の585億円、経常利益が36.3%増の522億円、当期純利益は22.1%増の279億円となった。

 エレクトロニクス機器事業は、売上高が7.4%増の7,091億円、営業利益が9.7%増の221億円。

 そのうち、AV/通信機器分野が、液晶テレビや欧州向けのカメラ付き携帯電話の出荷増で、売上高で13%増の4,003億円、営業利益で25.7%増の125億円となった。

 製品別に見てみると、液晶カラーテレビが前年比2倍にあたる101.6%増の680億円。携帯電話・PHSが41.8%増の1,651億円となった。

 「携帯電話は、国内におけるシステム液晶搭載製品や、100万画素CCD搭載製品が好調であったのに加え、欧州向けのカメラ付き携帯電話が予想を上回る伸びを見せた」(佐治寛副社長)という。

 携帯電話の上期の出荷台数は前年同期比44%増の439万台。通期でも26%増の800万台の出荷を目指すという。

 「下期は、国内において200万画素のCCDを搭載した製品を投入するなど、最先端技術を採用した製品を積極的に投入し、一層の付加価値化をすすめる。第3世代携帯電話でも、国内でのワイドバンドCDMA分野への積極化に加えて、海外においてはボーダフォン向けの出荷を強化。中国、アジア市場向けにはGMS端末の出荷を積極化する」とし、通期見通しも当初見通しの2,700億円から300億円増となる3,000億円(前年同期比23.4%増)へ上方修正した。

 しかし、情報機器分野においては、パソコンの落ち込みが目立つ。

 情報機器分野は、上期売上高が前年同期比4.4%増の1,983億円、営業利益は4.5%増の92億円だったが、これは液晶カラーモニターの成長に支えられたもので、パソコン事業は、13.3%減の259億円となった。台数でも4.2%減の18万7千台とマイナスとなった。

 パソコン業界全体がプラスに転じているのに対して、シャープのパソコン事業が低迷している理由として、佐治副社長は、「パソコン事業は儲からないので、縮小しているため」と発言。なお、液晶カラーモニターは、上期売上高が17.9%増の136億円、通期見通しは21.9%増の250億円としている。

●電子部品でも携帯電話向けが好調

 電子部品事業に関しても、液晶および携帯電話向け部品の好調ぶりが浮き彫りになっている。

 電子部品事業全体では、上期売上高が前年同期比24.1%増の4,698億円、営業利益が25.5%増の361億円となった。

 IC分野では、携帯電話向けやデジタルカメラ向けのCCDおよびCMOSイメージャの好調によって、52.9%増の1,159億円の売上高。営業利益では、2倍以上となる114.9%増の75億円となった。

 製品別には、液晶が14.2%増の2,364億円、営業利益では5.7%増の187億円。「10型以上の大型パネルが予想以上の引き合いとなり、常に需給がひっ迫している状況にある。来年1月に、液晶パネルの生産から液晶カラーテレビの組立までの一貫生産を行う亀山工場の稼働、三重第3工場に第2期生産ラインを来年3月にも導入し、システム液晶の安定した需給体制確立を目指す」としている。

 三重第3工場第2期ラインの稼働によって、システム液晶の生産規模は、天理工場を含めて月産650万台から、月産1,220万台の体制に引き上げられるという。これにより、通期では23.5%増の5,250億円の売上高を目指す。

 現在、液晶の価格は高止まりしているが、「三重のライン稼働や、台湾、韓国メーカーの生産能力の向上で、来年春からはパネルの価格は軟化するだろう。だが、パソコン用の液晶パネルは、しばらく不足が続きそうだ」とした。

 また、CCDおよびCMOSイメージャも、前年比2倍以上となる139.6%増の291億円。通期では162.9%増の800億円の売上高を目指す。「下期は200万画素のCCDが携帯電話に搭載されるほか、海外についてもカメラ搭載機の増加が見込める。CCDは、6月には月産400万個の体制だったが、10月には月産600万個体制に増強した」として、強気の姿勢を崩さない。

 そのほか、フラッシュメモリは、上期売上高が47.4%増の538億円、太陽電池が81.6%増の340億円となり、通期では、それぞれ15.8%増の1,000億円、55.2%増の700億円を目指すとした。

 今回の決算を振り返ると、同社が得意とする液晶事業、なかでもシステム液晶の携帯電話への搭載によって、大幅に事業を拡大していることがわかる。高機能型携帯電話の需要が増大し、システム液晶やCCDがひっ迫していることを考えると、シャープのこの勢いは当面続くことになりそうだ。

□シャープのホームページ
http://www.sharp.co.jp/
□決算情報
http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/kessan/h15_tyu/index.html

(2003年10月30日)

[Reported by 大河原克行]


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