その費用は、デスクトップパソコン本体やノートパソコン本体、液晶モニターが各3,000円。CRTモニターが4,000円。CRTモニター一体型パソコンならば4,000円だが、CRTモニターとパソコン本体が分離したデスクトップパソコンを廃棄する場合には7,000円の費用がかかるという計算だ。 だが、このリサイクル費用を支払わずに廃棄できる方法もある。しかも、場合によっては手元にお金が入るというメリットもあるのだ。 それが中古パソコンとして、下取りに出すという手法だ。 現在、ソフマップをはじめとするいくつかのパソコンショップや、NECや日本IBMが直接下取りを行なうといった動きも出ている。 ユーザーにとっても、ショップから離れた場所に住んでいても、インターネットで簡単な下取り査定額を知ることもできるし、宅配便などを利用して実際の査定もしてもらいやすい。以前に比べて、下取りに出しやすい環境が整っているといえるのだ。 なかには、「自分のパソコンは古いから」、あるいは「もう壊れて動かないから引き取ってもらえないだろう」という声もあるだろう。 だが、中古パソコン販売で最大手となるソフマップではどんなパソコンでも買い取るということを明らかにしている。もちろん、10円とか、100円とか、とても下取り金額とはいえないような査定額がつくこともあるだろう。しかし、販売店への配送料を支払うことを考えても(ソフマップの場合は1,500円)、リサイクル費用を支払うよりは安く済むことになりそうだ。 ソフマップによると、例え、生産中止になっている古いパソコンでも、企業ユーザーのなかには、どうしてもそのパソコンでないと駄目だという条件もあり、引き合いに出ることもあるという。NECのPC-9800シリーズや、OS/2を搭載したIBM製パソコンなどが、比較的、そうした需要が多い製品だといえる。こうした需要の中には、修理のためにパーツだけでも欲しいというケースもあるようだ。
また、パソコンが動かない場合などでも、複数の下取りパソコンのパーツを組み合わせることで完動品を作ることができるため、例えば、CPUが動かなくてもハードディスクやメモリ、筐体などが使えれば、下取り対象になるというわけだ。
●外箱なくとも、マニュアルはしっかり確保 しかし、中古パソコンとして下取りに出す場合には、少しでも高く買い取ってもらいたいと思うのは当然のことだ。 そこで、いくつか高く買い取ってもらうための手法を、ソフマップに聞いてみた。 まず、基本的な考え方は、パソコンが新品として販売された時点の形であることが最も望ましいという点だ。 外観でいえば塗装がきれいであるとか、液晶のドット落ちがないとか。また、添付品であるマウス、キーボード、マニュアルなどが新品と同じ形で同梱されていることが望ましい。 だが、多くの利用者が誤解している点に外箱の有無がある。実は、外箱があることが査定にプラスになるかというと、決してそうではない。ソフマップでも、「外箱はあっても、なくても査定額にはまったく影響しない」と語る。 これには理由がある。販売店が下取ったパソコンを中古パソコンとして再販する際には、外箱は、それぞれの販売店が用意した新たなものを利用する。これは、NECや日本IBMが行なっている再生中古パソコンでも同様だ。そのため、仮に外箱がきれいなものであっても、販売の際には、新しいものに変えられてしまうのである。 加えて、ユーザーが自宅から販売店に配送する際にも、配送費用とセットになった専用のダンボール箱を支給してくれるため、これを利用して送れば外箱をとっておく必要がない、というわけだ。 ただ、査定額を大幅に引き下げるものもある。 それは、WindowsやOfficeに関するマニュアル類などだ。具体的には、WindowsおよびOffice製品の使用許諾書、説明書やセットアップガイド、インストール用のCDやリカバリCD、インストールキーなどである。これらのひとつでも欠けていると査定額は大きく落ちる。 というのも、マイクロソフトは、中古販売業者に対して、OSおよびアプリケーションソフトに関する再譲渡に関する規約を設けており、その基準を満たさないパソコンに関しては再譲渡(中古パソコンとしての販売)をしてはいけないとしている。もし、その条件を満たしていない場合には、販売店やメーカーは、WindowsやOfficeを消去して販売するか、再度、マイクロソフトからWindowsやOfficeを購入して、インストールする必要があるというわけだ。 これに関しては、マイクロソフトは、主要なパソコン販売店などにガイドラインを配布済みだ。最近は、中古パソコンも初心者、初級者の購入が増加しており、Windowsやアプリケーションを最初から搭載している中古パソコンの方が人気が高い。日本IBMも、自らが再生している中古パソコンでは、基本的には、OSやアプリケーションは搭載しないという方針だったが、搭載機種に対するユーザーの要求が高いため、現在は搭載機種を増やす方向で検討を開始しているわけだ。 つまり、マイクロソフトの再譲渡基準を満たしていないパソコンは、不人気機種を作るか、あるいは販売店側がマイクロソフトからソフトを購入するという費用が発生することになるため、査定額も大きく下がることになるのだ。 外箱はなくても、マニュアル類はしっかりと保管しておくようにするのが、高い査定額を引き出すポイントだといえる。 一方、なかには、プラス査定になる要件もある。例えば、メモリやハードディスク、ドライブを増設していた場合、メーカー保証が可能なものであれば、プラス査定となる。NEC製のパソコンにメルコ製のメモリを増設したという場合もプラス査定となる。 下取りの際、増設したものが、もう不要であると思ったら、そのまま付属して下取りに出した方がプラスになる可能性が高い。 また、自作パソコンについても下取り対象となっている。デスクトップなどは店頭まで持ち込むのが大変だが、自作系ユーザーも下取りを活用してみるのもいいだろう。
ちなみに、ソフマップの店頭に行くと、中古パーツを使って、自作パソコンを組み立てようというコーナーまである。
●下取り前提ならば、人気機種を購入すべし 販売店が高い査定額をつけるのは、当然、高く売れる人気機種であるということが前提だ。 では、人気機種とは何か。まずひとつの目安が新品の発売時点で人気機種であるということだ。バイオUシリーズやThinkPad S30のように人気を誇った製品は、中古パソコンとなっても高い人気を誇っている。ここに挙げた以外の機種でも、バイオ、dynabook、ThinkPadなどが比較的、高い査定になりやすいという。 ソフマップによると、現在の中古パソコンの需要層がマニアを中心に形成されているせいか、2台目、3台目需要として重宝されているモバイル系パソコンの人気が高いという。ただ、このモバイル系のブームがいつまで続くかの判断は難しいところだ。 もうひとつの指針は時期である。あまりも時間が経過したパソコンは査定額も落ちる。これは自動車の中古市場と同様だ。
ソフマップによると、発売後1年を過ぎると値が落ちる可能性が高いので、下取りは1年を目安にするのがいい、という。すでに、1年のサイクルで下取りと新品購入を繰り返し、常に最新のパソコンを所有しているというユーザーもいるという。これも賢い購入方法のひとつだといえる。
●ポイントアップの日を狙うのも手 ソフマップに限定したサービスとして、こんな方法もある。 同社の場合、ソフマップカード会員を対象に、5のつく日は「中古の日」として、下取り査定額を15%アップしてくれたり、新品パソコンを購入した人には買い取り時に5%、10%の査定アップチケットプレゼントしたりといったことも行なっている。 同様に、ビックカメラでは、新品パソコン購入時に、パソコンを持ち込めばどんなパソコンでも1万円で下取ってくれるというサービスを9月末まで実施している。ただ、この場合、新たに購入する新品パソコンの機種が限定されているので注意が必要だ。 このように中古パソコンとして下取りに出すのは、不要になったパソコンを廃棄する手段としては極めて有効な手段である。 ソフマップでも、「いまはタマが足りない。中古パソコンは需要が高まっており、数多く仕入れたいのが本音」とも語る。
ユーザー自身の損得勘定という側面からも、リサイクル制度の施行を機に、いらなくなったパソコンを下取りに出すという選択肢も検討してみることを、ぜひお勧めする。
□関連記事 (2003年9月26日)
[Text by 大河原克行]
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