会場:TWTC Exhibition Hall 1
GPUベンダのNVIDIAは、COMPUTEX TAIPEIが開催されている会場近くのホテルで記者会見を開催し、AMDが発表したAthlon 64 FX-51、Athlon 64 3200+に対応したチップセットのnForce3を発表した。 nForce3は、AGPコントローラとサウスブリッジの機能を1チップに統合したシングルチップ・チップセットで、Athlon 64 FX-51、Athlon 64 3200+という2つのAthlon 64に対応することになる。これまでCrush K8、Crush K8Sという開発コードネームで呼ばれてきた2つの製品は、Athlon 64ファミリーのプラットフォームを支える重要なピースの1つとなる。 ●シングルチップこそ進化の方向だとNVIDIA 発表会に置いて壇上に立った、NVIDIAのMCPグループジェネラルマネージャのドゥルー・ヘンリー氏は「nForce3を利用することで、PCベンダはわずか2チップを採用することでAthlon 64マシンを組み立てることができる、シングルチップこそチップセットの進化の方向だ」とのべ、nForce3により低価格でAthlon 64マシンを構成することが可能であるという点を強調した。 ヘンリー氏がこうした点を強調するのは、理由がある。というのも、NVIDIAの最大のライバルであるVIA Technologiesが用意しているK8T800は、ノースブリッジとなるAGPコントローラと、V-Linkで接続されたサウスブリッジのVT8237から構成されており、マザーボード上にはCPUを入れて3チップが搭載されることになる。チップ数が減れば、コストも下がるというのはこの業界の常識であり、ヘンリー氏はその点を強調しているのだ。 また、ヘンリー氏はもう1つのnForce3の特徴として、Gigabit Ethernetコントローラがチップセットに内蔵している点を上げた。「ここに性能比較がある。従来のPCIベースのGigabit Ethernetは帯域幅の制限でフルに性能を発揮できていなかったが、Hyper Transportに直接接続されているnForce3のGigabit Ethernetは理論的限界に近い性能を発揮する」とのべ、Gigabit Ethernetを統合することで、高い転送速度が実現可能であると強調した。
●“150”と“250”という2つのシリコンにより複数の製品を展開 NVIDIAのnForce3には、複数のモデルが用意されている。これは、元々の開発コードネームの違いに由来している。最初に開発された製品は、Crush K8の開発コードネームで知られた製品で、すでにOpteron用のnForce3 Professional 150としてリリース済みだ。 このnForce3 Professional 150は、同じ940ピンのAthlon 64 FXファミリーにも利用可能であることが今回明らかにされた。さらにnForce3 150というAthlon 64版、nForce3 Go 150と呼ばれるノートPC向けAthlon 64版が追加された。 これに対して、Crush K8Sの開発コードネームで呼ばれてきた製品は、nForce3 250GbおよびnForce3 250の製品名になっており、Crush K8ことnForce3 150との違いは、Gigabit Ethernetコントローラを内蔵していること(250Gbのみ)、Serial ATAコントローラを最大で4ポートを利用することがでることだ。つまり、nForce3 150ファミリーに、Gigabit EthernetとSerial ATAを追加した製品がnForce3 250シリーズだと考えることができる。 ただし、実際にチップセットに内蔵されているSerial ATAのPHY(物理層)は標準では2ポートのみで、マザーボードベンダがボード上のPHYを追加した場合のみ4ポート利用可能になるので、実際には2ポートだと考えておいた方がいいだろう。 なお、RAIDも搭載されている。対応するのはRAID0(ストライピング)、RAID1(ミラーリング)、RAID0+1(ストライピング+ミラーリング)の構成が可能になっている。 また、今回NVIDIAはForceWareと呼ばれるソフトウェア群をリリースすることを明らかにした。ForceWareとは、NVIDIAのチップセット、GPUなどで利用できるドライバやユーティリティの総称で、NVIDIAのGPUやチップセットなどを利用するエンドユーザーに対して使いやすさなどを提供していくという。 その中にはRAIDのユーティリティ、CPUをオーバークロックするためのツール、nViewなどのWindowsのデスクトップマネジメントツールなどが含まれており、今後NVIDIAのWebサイトなどを通じて提供していくことになるという。 【nForce3の各モデル】
●nForce3を利用したワークステーション用デュアルCPUマザーボードも公開される 発表会場では、nForce3 250ファミリー、nForce3 150ファミリーを搭載したマザーボードなどが公開された。今回NVIDIAは出荷時期などを特に明らかにしなかったが、OEMメーカー筋の情報によれば、nForce3 150を搭載したマザーボードは一部がすでに出荷が開始されており、nForce3 250の方は11月頃~第4四半期中をめどに搭載製品が登場しそうだということだ。 また、発表会の途中には、ヘンリー氏がnForce3 250を搭載したOpteron 2xx用のワークステーション用マザーボードを公開した。製品は、デュアルCPUのOpteronに対応しており、マザーボード上にはAGP 8X、PCI-Xスロットなどが用意されており、PCI-Xのブリッジチップには、AMD-8131というAMDのPCI-Xブリッジが利用されていた。 今後、NVIDIAはコンシューマユーザー向けのみならず、こうしたOpteronの市場、特にQuadroを利用するようなプロフェッショナルユーザー向け市場にも積極的に参入していく方針を明らかにしたといえ、今後の展開が注目される
■nForce3 250Gb搭載マザーボード
■nForce3 Professional 150搭載マザーボード
■nForce3 150搭載マザーボード
□COMPUTEX TAIPEI 2003のホームページ(英文) (2003年9月24日) [Reported by 笠原一輝]
【PC Watchホームページ】
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