COMPUTEX TAIPEI 2003会場レポート【ビデオカード編】

S3のDeltaChromeがお披露目
~無線機能付きRADEON 9600 PROカードなども


会場:TWTC Exhibition Hall 1
   TWTC Exhibition Hall 2
   TWTC Exhibition Hall 3
会期:9月22日~26日(現地時間)


 ATI Technologiesの「R360(コードネーム)」や、NVIDIAの「NV36/38(コードネーム)」などの次期GPUのリリースが近いとの噂もささやかれるが、COMPUTEX会場では残念ながらそれらのカードは見受けられない。ビデオカードの展示は数多くあるが、いずれも既存の製品ばかりで、目新しいものはあまりない。

 そんな中、S3 GraphicsはDirectX 9対応GPU「DeltaChrome」のサンプルカードを展示し、デモを行なっている。DeltaChromeは、ローエンドからハイエンドまでをカバーし、ATIやNVIDIAのハイエンド製品に匹敵する性能を持つとされており、注目を集めている。

 そのほか、無線機能を搭載し、映像を無線で送信できるRADEON 9600 PRO搭載カードや、オーバークロックRADEON 9800 PRO搭載カードなど、ちょっとした変わり種もあった。


●多彩なビデオ機能を搭載したDirectX 9対応のDeltaChrome

 S3 GraphicsのDeltaChromeは、DirectX 9に対応するGPU。現在はA0バージョンの開発が終わったところで、今後は10月下旬を目処にカスタマーサンプルを出荷、OEMメーカーからの製品の発売はクリスマスシーズンになる見込みだという。

 DeltaChromeは、「F1/S8/S4」の3つのシリーズが存在。F1がハイエンド向けで、パフォーマンス向けのS8はF1よりもコア/メモリクロックが低くなる。S4はバリュー向けで、F1とS8が8パイプライン構成なのに対し、4パイプライン構成となる。ビデオカードの実売価格は、F1搭載カードで200ドル程度、S4搭載カードで80ドル程度を想定しているという。

 同社の説明員によると、ベンチマークなどの具体的性能については、現在チップがA0バージョンであり、今後チューンを行なっていくため、現時点では公開していないという。しかし、A0バージョンでも「NV34(GeForce FX 5200)と同程度の性能」で、製品版では「GeForce FX 5900や、RADEON 9800に競合する性能」になるという。

 機能面では、ユニークなビデオ出力機能をいくつか備えている。展示されていたサンプルカードはD-Sub15ピン、TV出力、DVIを装備。最大2つまでのディスプレイに同時に画像を表示できる。

 TV出力はHDTV(ハイビジョン)出力にも対応。また、ピボット機能を搭載し、画面を90度回転させて表示できる。デモ機では、実際にHDTVと液晶ディスプレイに同時に接続し、液晶の方に画面を90度回転させた状態でDirectX 9 SDKのベンチマークを実行し、HDTVの方に動画表示をさせていた。また同GPUは、動画のイフェクト機能を搭載しており、動画にリアルタイムでエンボス加工をして表示するデモを行なっていた。

 なお、将来的にはVIAのチップセットにDeltaChromeコアを統合させたチップセットも開発の予定があるという。

サンプルカードはD-Sub15ピン、TV出力、DVIコネクタを装備 ピボット機能により、画像を90度回転できる HDTVに出力した画面。ビデオのプロパティのプライマリディスプレイ(1)が縦表示になっているのが分かる。また、動画はエンボス加工されている


●無線送信機能を搭載したRADEON 9600 PRO搭載カード

 TRIPLEXは、無線送信機能を備えたユニークなRADEON 9600 PRO搭載カードを展示していた。

 この製品は、ドーターカード側に無線の送信機を装備しており、受信機を接続したTVに映像を無線で送信できる。ビデオカード側のビデオ信号は、ドーターカードを内部接続しているコネクタ経由でドーターカード側に送られ、ドーターカードはその信号を無線で受信機に送る仕組み。送信方式はアナログ。

 同社は3月に第1世代の製品を開発。その製品では、ビデオカードのTV出力から、送信機の外部コネクタにケーブルを接続する必要があったが、第2世代となる本製品では、ビデオカードと内部接続するドーターカード形式となり、ケーブル接続が不要となった。

 そのため、ドーターカードとしては同社のRADEON 9600 PRO搭載ビデオカード専用となるが、第1世代と同様のビデオ入力コネクタを備えているため、TV出力機能を搭載したビデオカードなら利用できるという。音声入力コネクタも装備しており、音声も送信できる。

 同社では、1人がプライマリディスプレイで普通の作業を行ない、もう1台のTVにDVDビデオを送信して別の人がそれを楽しむ、といった用途を想定している。無線チャネルは4チャネルを切り替えられ、受信機を複数設置して利用することもできる(無線の複数チャネル同時利用は不可)。

 発売は10月以降を予定しており、実売価格はドーターカードと受信機のセットで50ドル程度を見込んでいるという。

ビデオカードとは内部で接続される 送信機のアンテナ 受信機


●GIGABYTEのオーバークロックRADEON 9600 PRO搭載カード

 GIGABYTE Technologyは、コアクロックを500MHzにオーバークロックさせたRADEON 9600 PRO搭載ビデオカード「GV-R96P128DU」を展示していた。同社の従来品のコアクロックは400MHzなので、100MHzオーバークロックさせていることになる。ヒートシンクファンも従来品より大型のものが装備されている。

 そのほかの仕様は従来品と共通で、メモリクロックは600MHz、メモリ容量は128MB。インターフェイスは、D-Sub15ピン、TV出力、DVIを備える。発売は10月の予定。ちなみに、同社のRADEON 9800 PRO搭載カードはコアクロック380MHz/メモリクロック700MHzとなっている。

 なお、同社の最新カタログには、R360とRV360搭載製品の主だった仕様が記載されている。型番や写真などは掲載されていないが、登場は近いものと予想される。

コアクロックを500MHzにオーバークロックさせたRADEON 9600 PRO搭載カード「GV-R96P128DU」 GIGABYTEのカタログにはすでにR360/RV360の文字が

□COMPUTEX TAIPEI 2003のホームページ(英文)
http://www.computex.com.tw/computex2003/

(2003年9月23日)

[Reported by wakasugi@impress.co.jp]


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