アップル、15型PowerBookを国内初公開
~Wireless Keyboard/Mouseはまだ国内未着


国内初公開の15型PowerBook

9月17日開催


新製品の15型PowerBook G4(写真右)を紹介する原田永幸社長。サイズや重量などは従来のチタニウムモデルとほぼ同様。12型、17型と同じアルミニウム合金のデザインとなったことでラインナップに統一感が出た
 アップルコンピュータ株式会社は17日午後、WPC EXPOが開催中の幕張メッセに隣接するホテルで報道関係者向けに事業戦略発表会を開催した。同社は昨年に続いてWPC EXPOへの出展を見送っているが、現在パリで開催されているApple expo 2003とちょうど日程が重なることもあって、このタイミングとこの場所を国内発表の場に選んだものと思われる。

 プレゼンテーションは同社の原田永幸社長により行なわれたが、内容は現地時間の昨日パリでスティーブ・ジョブズCEOによって発表された新製品「15型PowerBook G4」と「Apple Wireless Keyboard」、「Apple Wireless Mouse」が中心となった。

 原田氏は最初に、パリの基調講演でジョブズCEOがスピーチしたノートブック市場について言及。ワールドワイドにおける全PCのなかでポータブル製品の占める割合は24~25%(ただし、日本市場ではさらに比率が高い)。しかしアップルコンピュータ単独では、現在約42%がポータブル製品であることを明らかにした。そのうえで、今年冒頭のサンフランシスコExpoでジョブズCEOが「今年はノートブックの年」と位置づけたように、直近の取り組みとしてその比率を50%まで引き上げるというパリでのジョブズCEOのコメントを紹介した。

 新製品となる「15型PowerBook G4」をはじめ、マイナーチェンジされた12型、17型それぞれのPowerBook G4も発表会場に用意された。いずれも、ここ数日から昨日までに日本へ到着したばかりということで17型と15型は各1台、12型は2台を展示。今週末の20日から出荷がはじまる15型、17型は日本語キーボードモデルが用意されていたが、今月末出荷予定となる12型は英語キーボードの製品での公開となった。

 各製品のスペックの詳細については既報の記事を参照してもらいたいが、原田社長は特に、ラインナップのなかでモデルチェンジの遅れていた15型が、12型、17型と同じアルミニウム合金製になってラインナップの統一感が強まったことと、いずれのモデルにもUSB2.0、Bluetooth、そしてDVIによる外部出力機能が付いた点などを強調した。

 そのうえで、12型PowerBookをDVI-ADC変換アダプタ経由でシネマディスプレイにつないだ構成を見せて「価格的には、17型を選択する代わりに12型+シネマディスプレイという選択肢もある。これならデスクトップとノートブックでデータを同期させる手間も省ける。こうした(日本ならではの)ソリューションも訴求していきたい」と意欲を見せた。


マイナーチェンジしてDVIインターフェースが標準搭載された12型PowerBook G4。DVI-ADC変換アダプタを経由してシネマディスプレイと接続している。本来ならさらにキーボード、マウスとともにワイヤレスで見せたかったところだろう。こうした構成も訴求していきたいと原田社長 12型PowerBook G4のDVIインターフェースは標準と異なる形状のため、接続には標準アダプタへの変換コネクタが添付される。そのほか、VGA、コンポジットビデオ、S-VIDEOへの出力も可能。コネクタ形状以外の仕様は12、15、17型のいずれも共通 残念ながら国内にはまだ未着という「Apple Wireless Keyboard」と「Apple Wireless Mouse」はスライドで紹介。いずれも電源スイッチが付いているので、例えばマウスを鞄に入れたときに意図せずクリックボタンが押しっぱなしになって電池を消耗するような事故を防げるという

新製品となる15型PowerBook G4。正面右側には、スロットイン式の光学式ドライブがある。1GHzモデルはDVD-ROM/CD-RWのコンボドライブ、1.25GHzモデルはDVD-R/CD-RWのSuperDriveを標準搭載。BTOによる仕様変更もできる 右側面のインターフェース。17型同様にFireWire 800(IEEE1394b)が搭載されている。そのほか、FireWire 400、USB2.0、Gigabit Ethernet、S-VIDEO、DVI出力などがある。もっとも左は盗難防止用のロック取り付け穴 左側面のインターフェース。電源アダプタ、内蔵モデム、音声入出力、そしてこちらにもUSB2.0が用意されている。特に国内ではPCカードスロットが残ったことを歓迎するユーザーも少なくないだろう。ちなみに搭載されているインターフェースは17型と同様だが、その配置は微妙に異なっている

15型PowerBook G4の裏面。中央にあるのはメモリ、AirMac Extreme Cardを増設するためのスペース。写真右下に位置するのがバッテリになる。バッテリのロックはコインなどを使って行なう。これは12型PowerBook G4と同じ仕組みだ。12型、15型、17型の各モデルでバッテリの互換性はなく、従来の15型用バッテリも形状が違うので流用はできない 左から順に17型、15型、12型のPowerBook G4。液晶パネルを閉じた状態だがその大きさのだいたいの違いが分かるはずだ 15型PowerBook G4のキーボードバックライトが点灯した状態。周囲の暗さのために写真がぶれてしまっているが、キートップの文字の部分が透過しているのが確認できる

 同時に発表された「Apple Wireless Keyboard」と「Apple Wireless Mouse」は、まだ国内に実際の製品が到着していないとのことで、スライドを使った紹介にとどまった。同社では今回発表された各製品の詳細に関する説明会を明日18日に予定しているが、それまでに到着するかどうかは現時点では不明となっている。ちなみにリリースによると、両製品は10月上旬の出荷を予定している。この点に限ったことではないにせよ、この日の原田社長からは「アップルは“あと何日…”というのは苦手な会社。“明日突然”が得意なんです」となかなか微妙なコメントも口をついて出ていた。

 そのほか原田社長は、パリでのジョブズCEOのプレゼンテーションの一部をかいつまんで紹介。6月に開催されたWWDCと同時にダウンロードが開始されたチャットクライアント「iChat AV」のダウンロードがβ版にもかかわらず50万件を突破したこと、現在は品不足の傾向にあるiPodの供給に改善の兆しが見えることなどが紹介された。そして、現在は国内約600カ所のiMac/iBookデモ展示店を中心に販売されているiPodの売り場を拡大することを示唆。PCを販売していない音楽系の店舗や、あるいは家電系売り場などにも進出し、ここ数ヶ月で1,000箇所に達するとの見通しを示した。記者からの質問に答えて、同氏はすでに店舗側や売り場などとの調整は整っていると説明。製品自体の供給不足が改善次第、実行に移せるという。

 そのほか、現在米国で展開している音楽配信サービス「iTunes Music Store」について、年内にMacintoshプラットホームだけでなくWindowsプラットホームへも対応することを発表。ただしこれは米国限定のことで、国内ではいまだ「iTunes Music Store」自体が準備段階にあり、現時点で話ができることはないと説明している。

 もうひとつユーザーが気になる部分として、先日出荷の始まったPowerMac G5の供給状況だが、ローエンドそしてミッドレンジにあたる1.6GHz、1.8GHz(いずれもシングルプロセッサ)については潤沢に供給が行なわれていると説明。ただし、ハイエンドになる2.0GHzデュアルプロセッサモデルについてはもう少し時間がかかるとコメントした。

 前述したように、今回発表された各製品については明日18日に製品担当者による詳細な説明会が予定されており、引き続いてレポートを行なう予定だ。

□アップルコンピュータのホームページ
http://www.apple.co.jp/
□関連記事
【9月17日】アップル、アルミボディになった15型PowerBook G4
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0917/apple1.htm
【9月17日】アップル、Bluetooth接続のワイヤレスキーボード&マウス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0917/apple2.htm

(2003年9月17日)

[Reported by 矢作 晃]


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