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IBM東京基礎研究所、報道向けセミナーを開催
~アクセシビリティなどへの取り組みを披露

8月5日 開催



 IBMの研究機関である東京基礎研究所(TRL)は5日、報道関係者向けのメディアセミナーを開催した。2002年に続いて2回目となる今回のセミナーでは、アクセシビリティなどについての取り組みや、成果が披露された。

東京基礎研究所(TRL)所長の鷹尾洋一氏

 セミナーに先立って所長の鷹尾洋一氏がTRLの紹介を行なった。TRLは世界に8カ所あるIBMの基礎研究所の1つ。全体で約3,000人の研究員を擁し、TRLでは200名弱が研究を行なっているという。

 基礎研究所では大きく分けて、サイエンス、サーバー&組み込みシステム、PCなどのパーソナルシステム、半導体技術、ストレージシステム、サービス&ソフトウェアの6つの分野で最先端の基礎研究を行なっている。

 最近ではサービス&ソフトウェア分野への比重が大きくなりつつあるといい、世界レベルでは約5割、TRLでは8割が同分野に割かれているという。

 なお、IBMの研究部門では、Linuxクライアントが大々的に展開されている最中ということで、今回のプレゼンテーションはThinkPad + Linux + Open Officeという組み合わせのシステムで行なわれた。

TRLの主な研究分野 LinuxがインストールされたプレゼンテーションPCのデスクトップ画面

●障害者を含む全ての人が情報機器を操作できるように

アクセシビリティ・センター・グループリーダーの浅川智恵子氏

 IBMは、古くは'60年代から音声タイプライター「Talking Typewriter」など障害者向けのIT機器を開発。自らも視覚に障害を持つ、TRLアクセシビリティ・センター・グループリーダーの浅川智恵子氏は'80年代からアクセシビリティ技術の開発に取り組んできたという。

 浅川氏によれば、ITにおけるアクセシビリティとは、障害者を含む全ての人が情報機器を操作できるようにするということで、新しい情報源の確立/拡大、職域の拡大、教育環境の整備、アクセシビリティ技術の幅広い活用などを目的とする。

 インターネットの普及は、多くの人に多大な情報の提供をもたらした。しかし、一般のブラウザは障害者にとって必ずしも利用しやすいものではないため、障害者はそのメリットを享受するのが難しい。

 そこでTRLが開発、'97年に製品化されたのが「ホームページ・リーダー」。同ソフトは、全盲ユーザーのためのホームページ読み上げソフトで、Webページのテキスト情報を合成音声で読み上げることができる。

 全ての機能をテンキーだけで行なえるほか、リンクテキストは女性音、そのほかは男性音で読み上げる、早送り再生などの機能を搭載。11カ国語に対応する。

右手に写っているのは、ディスプレイの情報を小型カメラで読み取り、その情報を振動子マトリックスに転送して手で読み取れるようにした「Optacon」というデバイス TRLが開発した展示辞書システム。ThinkPadと点字ピンディスプレイを組み合わせて利用している ホームページ・リーダーの主な仕様

●近年のWebにおける新たな懸念

代替テキストの一例として挙げられた画像とテキスト。右側に列挙された文字列は、画像を表現したものとしてはどれも誤りではない。しかし、それぞれから受ける印象は全く異なる

 ホームページ・リーダーにより、視覚障害者はWebを活用できるようになったが、近年のWebにおいて新たな問題が発生した。それはWebのマルチメディア化である。

 '95年当時のWebでは、総情報量におけるテキストの割合は9割以上を占めていたが、次第に画像や、音声、動画などのマルチメディアコンテンツがその割合を増し、テキストに取って代わるようになってきた。

 これは一般ユーザーには歓迎すべき点が多いが、障害者にとっては、画像化された文字列などはホームページ・リーダーでは読み上げられないという問題を持つ。

 画像については、代替テキストを用意することで、ある程度対応できるが、画像を文字で表した場合の表現は人それぞれであるため、根本的な解決にはならない。

 こういった問題の解決には、社会的な環境整備が必要となってくる。欧米ではすでに、Webアクセシビリティの向上に向け、Webデザインのガイドラインや法整備が進められているという。一方日本では、JISによる標準化が検討中、総務省が指針を公開した、というレベルに留まっており、浅川氏はその対応の遅さを指摘した。

 最後に浅川氏は、「あらゆる商品にRFIDタグが付けられることで、無線を介してモノの認識が実現。また、より多くの情報がデジタル化することで、日常生活でコンピュータ処理される作業が拡大したり、高度な位置情報によって、移動中における効果的な情報伝達が可能になるだろう」と述べ、ITの進歩により、10年後のアクセシビリティはさらに向上するとの展望を示した。

 セミナー終了後は、セミナーで紹介されたソフトウェアなどの展示デモが行なわれた。


TRLアクセシビリティ・センターが開発した高齢者・低視力者向けブラウザ「らくらくウェブ散策」。テキストの拡大、配色の変更、テキストの音声読み上げ、ルビ振りなどができる。テキスト上にマウスカーソルを移動すると、下側のフレームに拡大された文字やふりがなが表示される アクセシビリティ チェックソフト「Accessibility Designer」。Webページの使いにくさを視覚化して表現、チェック、修正など、既存のページのアクセシビリティ度を評価できる。色弱者のための配色提案などもしてくれる
「ThinkPadにおけるリサーチ・テクノロジー」と題されたブースに展示されていたハードウェア群。こちらは、ThinkPad G40に内蔵されているPentium 4 3GHzに対応するノート用空冷機構(写真上) ThinkPad T40で初めて実装された、HDD用のサスペンション機構。これにより同T30より耐衝撃性能が約50%向上したという。コネクタ部がかさばるため、比較的大きめのノートPCにしか搭載できないという ThinkPad T40に内蔵の無線LAN用ダイバーシティアンテナ。デュアルバンドに対応し2つ組み合わせてアンテナを構成する。ちなみに、Lの字を時計回りに90度回転させたような上側の長い方がIEEE 802.11b用で、そのすぐ下側の台形のようなのが802.11a用

□IBM東京基礎研究所(TRL)のホームページ
http://www.trl.ibm.com/
□関連記事
【2002年8月2日】IBM東京基礎研究所、報道向けに研究成果を披露
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0802/ibm.htm

(2003年8月5日)

[Reported by wakasugi@impress.co.jp]


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