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ソニー、バイオの収益重視路線に変更なし
~2003年度第1四半期決算は減収減益

ソニー グループCFO 湯原隆男氏

7月24日発表



 バイオの競争力は高まってきたと思う--ソニーの湯原隆男グループCFOは、2003年度第1四半期(4~6月)連結業績発表の席上で、バイオシリーズの現状についてこう語った。

 湯原グループCFOは、「バイオシリーズは、個々の商品力の見直しを行なってきた結果、商品競争力は高まったと思う。ラインアップを絞り込んだことで、販売数量は減少したが利益は増益となった」と第1四半期の取り組みを自己評価した。

 バイオシリーズは、2003年度の重点製品のひとつと位置づけているが、「今後も引き続き、商品力の強化はすすめていくが、引き続き、ラインアップを絞り込み、収益性の改善を推進していく」と利益確保優先の事業方針を変えない姿勢を示した。

 バイオシリーズの年間出荷計画である310万台(デスクトップ120万台、ノートパソコン190万台、国内110万台、海外200万台)は変更しない。

 また、クリエに関しては、「主力の米国市場において、他社の低価格攻勢によって販売数量が減少している」と苦戦していることを示した。国内では新製品のPEG-UX50がどう貢献するかが注目されるところだ。

●エレクトロニクス、ゲーム事業が減速

 2003年度第1四半期(4~6月)連結業績は、連結売上高が前年同期比6.9%減の1兆6,038億円、営業利益は352億円減少の167億円。当期純利益は561億円減少の11億円と、減収減益となった。2002年度第4四半期(1~3月)が、営業損失がマイナス1,165億円、当期純損失がマイナス1,111億円だったことに比べると大幅な回復にあり、「予想よりいい数字になった。信頼を取り戻すには利益を回復することを着実に実行していきたい」(湯原グループCFO)としたものの、依然として不安を感じさせる決算内容となった。

 要因は、エレクトロニクス事業およびゲーム事業、映画事業の減速。また、第1四半期に構造改革費用として65億円(うちエレクトロニクス46億円)を計上したことが影響している。

 エレクトロニクス分野は、テレビ部門がブラウン管テレビが縮小。さらに、バイオシリーズ、パーソナルオーディオ、アイワブランド製品などの不振によってこれら製品群が減収し、分野全体で9.8%の減収となる1兆998億円となった。また、テレビ部門、ビデオ部門の価格競争激化などにより、単価下落の影響を受け、363億円減少の128億円となった。

エレクトロニクス事業売上高と営業利益の推移 エレクトロニクス地域別売上

 一方、PlayStation 2を抱えるゲーム事業は、ハード、ソフトともに売り上げが減少し、前年同期比18.2%の減収となる1,252億円、営業利益は8億円減少の18億円となった。

 日本においては、PlayStation 2の新製品を投入したことで前年比76%増の出荷台数となったものの、昨年同期には、米国市場においてPlayStation 2の価格引き下げを行なったことで前年実績が大きくなっていたことから、米国市場では前年同期比53%減と大幅に減少したことが影響した。

 前年同期はスパイダーマンの記録的大ヒットによって収益部門だった映画事業に関しては、第1四半期に大ヒット作品がなかったこと、「チャーリーズ・エンジェル フルスロットル」の宣伝広告費がかさんだことで、売上高で13%減の1,511億円、営業損失ではマイナス24億円の赤字決算となった。

 また、音楽部門は、売上高の73%を占める米国のソニーミュージックエンタテインメントが前年同期比8%の減収となったことで、部門全体でも売上高は8.8%減の1,170億円、営業損失はマイナス60億円の赤字となった。

 携帯電話事業のソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズは、GSM対応のP610や、国内向けのドコモのSO505iが貢献し、売上高は18%増の1,125億円となった。

 なお、今年4月に発表した今年度の売上高および利益目標については変更はない。

●依然として不安要素が山積?

 今回の決算発表は、湯原グループCFOが指摘するように、第4四半期に比べると業績は回復しているものの、第2次構造改革が今年度第3四半期以降に実施されること、映画、音楽事業部門の相次ぐ赤字、さらにエレクトロニクス事業、ゲーム事業の低迷など不安要素が多く、ソニーショックのイメージを完全に払拭するにはまだ時間がかかることを感じさせた。

 また、エレクトロニクス分野の重点製品群として、PDP、DVDレコーダー(コクーンを含む)、PSX、バイオ、カムコーダー、デジタルスチルカメラの6分野をあげたが、今回560万台から1,000万台へと生産計画を引き上げたデジタルスチルカメラと、国内シェアを4割程度まで引き上げてきたカムコーダー、地上デジタル放送への対応などによってラインアップ強化を図るベガシリーズ以外は、収益への貢献度は未知数といわざるを得ない。

 出遅れたDVDレコーダー、収益改善を図るバイオ、新市場開拓の先兵となるPSXが下期以降、どんな動きを見せるかが注目されるところだ。

2003年年度業績見通し エレクトロニクス分野の重点製品群

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200307/03-031/

(2003年7月24日)

[Reported by 大河原克行]


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