Macworld NYレポート

Macworld開幕。新ハードのアナウンスはなし
〜ブース縮小の影響か、Appleブースは例年以上の混雑


会期:7月16日〜18日(現地時間)
会場:ニューヨーク Jacob K. Jabits Convention Center


 16日(現地時間)、Macworld CreativePro Conference & Expo(以下、Macworld)が開幕した。午前10時の展示会場オープンに先立ち、9時30分からはSpecial Event HallでApple ComputerによるFeature Presentationが行なわれ、事実上の幕開けとなった。

 プレゼンターは、同社でハードウェア・プロダクトマーケティング担当の副社長を務めるGreg Joswiak氏。イベントのテーマと、聴衆であるクリエイティブのプロ達を意識して、プレゼンテーションの内容も、同社のプロ向けプロダクトを中心としたものとなった。

この日のプレゼンを行なったハードウェア・プロダクトマーケティング担当の副社長のGreg Joswiak氏。通称、Joz。創業者であるふたりのスティーブ、JobsとWozniakの両氏を名前を混ぜるとJoswiakになると自己紹介した

 最初のテーマは同社が販売するプロ向けのアプリケーションのサマリー。そのなかにはこの日発表されたリリースがふたつ含まれていた。ひとつはAdobe製ビデオ編集ソフト「Premiere」の既存ユーザーに対する、「Final Cut Experess」、「Final Cut Pro 4」という同社のビデオ編集ソフトの提供である。リリースのあったこの日から9月20日までの間、Mac版、Windows版を問わずAdobe Premiereのユーザーは、トレードインによって無償で「Final Cut Express」に乗り換えることができる。また「Final Cut Pro 4」を購入したユーザーも、Premiereのディスクをトレードすることによって500ドルのリベートを受け取ることができ、実質半値となる499ドルでFinal Cut Pro 4を手にすることができるというものだ。

 もちろん明言されてはいないが、これは先日アナウンスがあったAdobeがMac版Premiereの開発を継続しないことに対する措置とみて間違いない。同時に、Macintoshの新規購入者が同時にFinal Cut Expressを購入する場合、200ドルのディスカウントを実施し、99ドルで購入するキャンペーンを開始することも発表された。日本で同様のキャンペーンが行なわれるかどうかについては、現時点では明らかになっていない。

 もうひとつのリリースもやはりFinal Cut Proに関連するもの。これまで、Final Cut Proのコンポーネントのひとつであった音声トラック編集アプリケーションの「Soundtrack」が、独立したアプリケーションとしても販売されることになるというものだ。Soundtrackは8月から299ドルで出荷される。こちらも日本市場での展開は未発表。

Feature Presentationは例年より狭いSpecial Event Hallが会場。Jobs CEO不在でも、開演前にはホール前に行列ができ、開演までに座席は満席となった Adobe Premiereユーザーに対する、Final Cut Expressの無償提供と、Final Cut Pro 4の500ドルリベート。PremiereのMac版開発停止に対する措置と考えて間違いない。日本国内での対応はまだ発表されていない Final Cut Pro 4のコンポーネントのひとつ「Soundtrack」が単独のアプリケーションとして299ドルで販売を開始。既存のQuickTimeムービーにドラッグ&ドロップで音声トラックを追加できたりする。日本国内での発売は未発表だ

 次のテーマ、次期Mac OS X “Panther”のプレゼンテーションは、先日のWWDCでSteve Jobs CEOが行なったもののダイジェスト版ともいうべき内容となった。Pantherで追加・改良される機能のなかから、どちらかといえばプロ向けと位置づけられるFont Book、PDF、Printing、Apple Script、Expose、Pixletの六つに絞り込み、紹介とデモンストレーションが行なわれた。Mac OS X担当のディレクター、Ken Breskin氏が行なったデモの内容自体も、WWDCで行なわれたものと大きく変わることはなかった。

 唯一の目新しい部分としては、WWDCでは詳しく紹介されなかった“Panther”のServer版の機能の一部が簡単に紹介されている。50ほど追加・改良される機能のなかから、Single Sign-in、Samba 3のネイティブサポートによるWindowsとの親和性の向上などが紹介されたほか、WWDCでは見ることができなかったServer版のDiscデザインがスライドに表示された。ちなみに、Mac OS X Server “Panther”は、10クライアント版が499ドル、クライアント数が無制限のものは999ドルで年内に出荷開始を見込んでいる。

WWDCでは詳しく紹介されなかった“Panther”のServer版。Discのイメージは黒ベースでメタル調のXロゴが映える。10クライアント版は499ドル、クライアント数無制限のものは999ドルで年内の出荷を予定

 続いてPowerMac G5の紹介が行なわれたが、こちらもWWDCとほぼ同一の内容。議論を呼んでいるGCC 3.3を使ったPentium 4、Xeonとの比較もWWDCと同じ数値が紹介されていたほか、いくつかの比較スコアが追加されていた。ベンチマーク以外でのリアルアプリケーション対決もWWDCと同様に行なわれている。また技術デモンストレーションと前置きしたうえで、PowerMac G5にXserve RAIDユニットを接続した構成でHD映像のリアルタイム処理を行なってみせ、そのパフォーマンスの高さを強調している。

 残念ながらのこの日のプレゼンテーションは、新ハードウェアなどのアナウンスはないままに終了した。Jobs CEOや他の上級エグゼクティブも会場には姿を見せなかったが、例年よりは狭いとはいえ開演までには会場も満席となり、東海岸のMacユーザーの根強い支持を伺わせる。Joswiak副社長は最後に、同社内に「Pro Organization」部門ができたことにふれ、今後もプロユーザーに対して強くコミットしていくことを約束して締めくくった。


WWDCでJobs CEOが紹介したもののなかから、特にプロユースでのニーズが高いと思われるもの六つに絞って、Mac OS X“Panther”をプレビューした Printingでは、Virtual PostScript技術でWindowsネットワーク上の共有プリンタへの出力が可能になる ここ、Macworldでもデモンストレーションに歓声が沸いたExpose。やはりプロユーザーが多いことで、多くのウインドウを同時に開いた作業環境が多いことを伺わせる

プロユーザー向けということもあり、WWDCではなかったMac OS X Serverの機能強化についても触れられている。全部で50あまりの追加、改良された機能がある 利用するネットワークのユーザー認証を一括で管理するSingle Sign-in Samba 3をサポートすることで、ネットワーク上のWindowsクライアントにもネイティブ対応する

新たに公開されたPowerMac G5のアドバンテージを示すベンチマーク結果のひとつ。75枚のRAWデータ画像をTIFFに変換するのに要する時間で比較している こちらは、Adobe After Effects 5.5のNight Fright Benchmarkの結果 技術デモンストレーションとして、HDビデオ映像をリアルタイム処理で合成。PowerMac G5にXserve RAIDのユニットを接続して行なっているという

●展示スペースは縮小したものの来場者数では健闘。混雑するAppleブース

 展示会場は午前10時からオープンしている。前日レポートでも紹介したとおり、全体の展示スペースは昨年までの約半分ほどで、入り口すぐそばに位置するApple Computerのブースも、例年に比べて半分ほどの面積に縮小されている。オープンから数時間ほどのAppleブースは例年以上の混雑となった。特に中央にあるプレゼンテーションステージと、その背後の展示台の間がそれほど広くなかったことから、ステージを見る人と展示を見る人が交錯して、通行もままならなくなる場面もたびたびあった。

 ブース内には、大量のPowerMac G5がデモ機として投入されている。ただハードウェアの位置づけで紹介されているのは回転台に乗っている2台ほどで、そのほとんどは、いわゆるプロ向けアプリケーション、ソリューションのプラットホームとして運用されている。

 展示台の壁面には、Adobe Photoshop、Quark Xpressなどアプリケーションやソリューションの名称が記載され、それぞれ専任のスタッフが説明にあたっていた。そのほか、ブース内で運用されている機材は、17型PowerBook、Xserve、Xserve RAIDなど。iMacも数台あるが、これらはApple Careなどサポートやサービスの紹介をするKiosk端末としてのみ機能しており、テーマである“プロ向け”を強く意識した展示となっている。

会場入り口正面に位置するアップルブース。正面の展示台には、主にビデオ編集ソリューションのデモ機材がずらりと並んでいる

 ブース内で特に多くの来場者が足を止めていたのは次期Mac OS X “Panther”のプレビューを行なっているデモ機と、Quark Xpressのデモ機。いつ訪れても多くの人垣ができ、次々と質問を説明担当者にあびせたり、デモに見入ったりしていた。

 ちなみに、今回の展示では展示用の什器が様変わりしている。iMacの発表以来、天面に透過する素材を使い、下から機材をライトアップする什器が長く使われてきていたが、それらを一新。今回は黒を基調にした什器が使われている。中でライトアップする仕組みは同じだが、その光は背面のパネル方向にのみ照射され、間接照明としてのみ機能している。最近のプロダクトでは、トランスルーセント基調のものは姿を消し、メタル調へと移行していることからの変更とみていいだろう。

 そのほかのApple Computerブースの模様は写真で紹介する。なお、明日17日(現地時間)は、午前10時45分からQuarkのFeature Presentationが行なわれることになっている。

ハードウェア製品としてPowerMac G5を展示しているのは、回転台の上の2台のみ。ブースに投入されているPowerMac G5のほとんどは、プロ向けアプリケーション、ソリューションのプラットホームとして扱われている Appleブース内の混雑ポイント、その1。“Panther”をプレビューしているデモ機の前には人があふれ、混雑が途絶えることがない。来場者の注目度の高さをうかがわせる Appleブース内の混雑ポイント、その2。Quark Xressのデモ機前。左の“Panther”とは客層がまったく異なるのがポイント。これがMac OS Xネイティブ対応しなかったために、移行できないというユーザーは日米問わず数知れない。Quaakは明日、Feature Presentationを行なうが、展示ホールへの出展がないため、自ずとここに人が集まる

デモンストレーションに利用されているPowerMac G5。アプリケーションやソリューションごとに説明員がついているが、来場者も実際に操作してみることができる iMacの発表以降続いていた下からライトアップする什器を一新。黒の天面の什器に変わった。製品デザインが、トランスルーセント主体からメタル調へと移り変わっているためだろう プレゼンテーションステージのスペースも例年より狭いため、座り込んで見る来場者が多数発生。ちなみにステージ右側にいるスタッフは手話通訳者で、Appleに限らず米国内のコンベンションではこうしたサポートが充実している。国内イベントでも是非

□Macworld Conference & Expoのホームページ(英文)
http://www.macworldexpo.com/
□Apple Computerのホームページ(英文)
http://www.apple.com/
□ニュースリリース(英文)
http://www.apple.com/pr/library/2003/jul/16fcp.html
http://www.apple.com/pr/library/2003/jul/16soundtrack.html

(2003年7月17日)

[Reported by 矢作 晃(akira@yahagi.net)]


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