菊川剛社長

5月12日発表

　同社の2003年3月期の売上高は前年比6.8%増の5,643億円、営業利益が47.4%増の623億円、経常利益が66.7%増の524億円、当期純利益が243億円と、過去最高となる増収増益になった。売上高は10期連続、経常利益は7期連続、営業利益は3期連続の増加。

　デジタルカメラ含む映像カンパニー全体では、前年比13.9%増の2,448億円。営業利益では、前年の赤字から260億円規模の回復となる182億円。内視鏡などの医療カンバニーは、5.3%増の2,684億円、プリンタ、工業機器などの産業カンパニーは、9.8%減の444億円となった。

　菊川社長は、「医療分野の堅調ぶりがベースにある」としながらも、「足を引っ張っていた、デジタルカメラ事業がＶ字回復にあり、中国生産による原価低減効果も働いた」と話す。

　デジタルカメラが前年比26.8%増の1,748億円となり、構成比も全体の31.0%を占めた。前年実績では全社に占める構成比が26.1%にとどまっていたことに比べると大幅に拡大した。だが、海外が前年比36.6%増の1,397億円となったのに対して、国内は1.6%減の350億円となった。

　今年2月に発売したμ-10DIGITALが発売直後から生産が追いつかない状況となったことや、C-730　UltraZoom、C-2Zoomなどの好調ぶりで、国内シェア20%を獲得しているという明るい材料もあるが、国内市場における事業拡大が、2003年度の至上命令となるのは間違いないだろう。

　菊川社長は、「デジタルカメラ分野でナンバーワンブランドを維持することなどを目指し、5年間で200億円のブランド投資を行う予定で、今年度は宣伝広告費とは別に約40億円を投資する。CAMEDIAに対するブランド浸透度は高く、知名度はナンバーワンになった。テレビCMの認知率も回復した」と国内戦略を加速する考えを示した。

　また、小宮弘取締役常務執行役員・映像システムカンパニー長は、「デジタルカメラは、発売数か月後には数千円下がるのが一般的だといわれるが、C-2Zoomは、発売以来1年間に渡って29,800円という実売価格を維持しており、付加価値を認めていただいている点で意味がある」と、国内における復調ぶりに言及した。

　昨年5月から開始した中国生産は、2002年度実績で20%。2003年度には、これを35～40%に引き上げる考え。「現時点では、SARSによる影響はまったく出ていない。事前の予防措置や懸念材料への対策などをとっているのがその理由」(小宮カンパニー長)として、中国生産の拡大にSARSが歯止めとならないことを示した。

　さらに、CCDなどの部品不足を背景にデジタルカメラの生産計画を下方修正する企業が相次いでいるが、「確かに部品の確保には厳しいものがあるが、当社の場合は長期的な契約によって取引をしており、影響はそれほどないと思う」(小宮カンパニー長)とした。

　なお、2004年3月期の見通しは、売上高で6,500億円、経常利益が600億円、当期純利益が370億円とし、引き続き2桁増の高い伸びを見込む。菊川社長は、「2桁の増収増益には自信を持っている」と話す。

　その要因として、「デジタルカメラが引き続き堅調であり、年間720万台の出荷を見込む。全世界の市場規模が3600万台と見ており、そのうち20%のシェア獲得を狙う」(菊川社長)とした。現在同社のシェアは全世界で16%といわれており、4ポイントの上昇を目指す考え。具体的な拡大要因として、μ-10DIGITALの好調ぶり、C-700シリーズの後継機の投入、μ-20DIGITALの投入などをあげた。

　また、今年6月にはデジタル一眼レフカメラの製品発表を予定していることを明らかにし、今年秋にも市場投入する計画だ。製品仕様の詳細などについては明らかにしなかった。

　同社では、2007年度を最終年度とする中期経営計画「02経営基本計画」を策定、連結売上高8,700億円、営業利益1,200億円、ROEで16%を目指している。

　このなかでデジタルカメラ事業においては、さらなる大幅な原価率改善を目指し、利益を創出する体質の確立を目指している。

　菊川社長は、「初年度となる2002年度の実績を見る限り、計画通りに進捗している」と自信を見せた。

□オリンパスのホームページ
http://www.olympus.co.jp/
□決算情報
http://www.olympus.co.jp/jp/corc/IR/

(2003年5月15日)

[Reported by 大河原克行]