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富士通、2003年3月期決算は減収減益
~リストラ費用とHDD回収が収益を圧迫

高谷卓代表取締役副社長

4月25日発表



 富士通株式会社は、2003年3月期連結決算を発表した。売上高は、前年比7.8%減の4兆6,175億円、営業利益は1,004億円、経常利益は123億円となったものの、当期純損益はマイナス1,220億円の赤字となった。

 今年1月の予測に比べて、売上高は800億円のマイナス、当期純損益では120億円のマイナスになった。

 当期純損益の大幅な赤字は、リストラのための事業構造改善費用として1,514億円、デスクトップPC用HDDの不具合による回収費用として計上した製品不具合対策費用に306億円、所有株式の評価損で218億円などの特別損失を計上したことが大きい。富士ゼロックスへの事業売却益145億円、ファナックやアドバンテストの株式売却益293億円では穴埋めできなかった。

 分野別に見ると、ソフトウェア・サービス事業は、前年比2.9%減の2兆257億円。営業利益は1,765億円。国内における医療、公共などのe-japan関連事業やアウトソーシング事業が好調だったものの、通信キャリアの投資抑制、金融機関向けの大口案件が一巡したことで売り上げが減少。しかし、営業利益は1,765億円と前年に比べて186億円の増益となった。

 プラットフォーム事業は、前年比20%減の1兆6,120億円と大幅に落ち込んだ。ここでも通信キャリアの投資抑制や、前年度には計上されていた金融機関向けの大型サーバー案件が一巡したことが大きく影響。さらに、撤退したデスクトップPC用HDDビジネスの数字が無くなったことが大きく影響している。

 中でも大きいのが伝送システムで、「通信業界の崩壊が2002年度も続いていた」(高谷卓副社長)として、前年比42.6%減の2,226億円という状況。また、HDDもデスクトップ向け事業の撤退の影響で32%減の1,614億円。そのほかにも、モバイル/IPネットワークが21.6%減の1,897億円、サーバー関連が26.5%減の3,828億円と軒並みマイナス成長となった。

 プラットフォーム事業のなかで唯一伸張しているのがPC/携帯電話で、前年比4.6%増の6,555億円となった。これは国内の個人向けPC事業が堅調であることが要因。また、携帯電話も誰でも使えることをコンセプトにした高年齢層向けの製品などが高い評価を得たのも追い風となった。

 PC事業は、2002年度出荷実績は前年比3%減の568万台。国内は247万台と前年比4%減のマイナスだが、市場全体が8%減であることと比較するとシェアを引き上げた格好になる。また、欧州は297万台、北米が12万台。アジアが12万台。2003年度の計画は、国内が260万台、欧州320万台、北米13万台、アジア13万台と全地域でのプラスを見込んでおり、合計では、7%増の606万台を計画している。

 デスクトップPCとノートPCの比率は前年の49%対51%から、2002年度は47%対53%とノートPCが伸張。この傾向は2003年度も続き、46%対54%になると見ている。

 また、携帯電話は、2002年度実績で前年比47.8%増の334万台と大幅な伸び。2003年度は3.2%増の345万台を見込んでいる。

 プラットフォーム事業全体では、前年の575億円の赤字から一転して9億円の黒字。「かろうじてではあるが、黒字化した点に意味がある」(高谷副社長)。

 電子デバイス事業は、前年比13.2%増の6,186億円。内訳としては半導体事業は、DRAMビジネスからの撤退が影響したものの、ロジック、フラッシュともに2桁増となり、前年比5.2%増の3,493億円。また、その他部門ではPDP事業の伸張に支えられて、前年比25.2%増の2,693億円となった。だが、営業損益では、776億円の大幅な改善を図ったものの、マイナス316億円の赤字。

 なお、2003年度の業績見通しは、売上高が前年比4%増の4兆8,000億円、営業利益が49%増の1,500億円、経常利益が4.8倍となる600億円、当期純利益が300億円と、増収増益を見込む。

 だが、第1四半期は、SARSの影響や戦争後の米国景気の動向が不安定なことから、前年同期を下回る数値を予定。第2四半期以降からゆるやかに回復し、通期で前年実績を上回る計画を立てている。

□富士通のホームページ
http://jp.fujitsu.com/
□ニュースリリース
http://pr.fujitsu.com/jp/ir/finance/2002/

(2003年4月25日)

[Reported by 大河原克行]


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