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NEBA、個人向けパソコンリサイクルの懸念材料を指摘
~岡嶋会長が定例会見で言及

NEBAの岡嶋昇一会長

4月18日



 日本電気大型店協会(NEBA)は18日、定例記者会見を行ない、個人向けパソコンのリサイクルに対して、いくつかの懸念材料があること、その一方で低迷するパソコン需要を一時的に喚起する可能性があることなどに、岡嶋昇一会長(=エイデン社長)が言及した。

●リサイクル費用に割高感

 岡嶋社長は、今年10月にも開始する個人向けパソコンのリサイクルに関して、郵政公社との提携による回収を可能としたことに一応の評価を示しながら、いくつかの懸念材料を示した。

 ひとつには、メーカー各社ごとに設定されるリサイクル費用が、現段階ではメーカー各社から発表されておらず、これが出揃うのが6月になると見込まれることで、周知活動の徹底に遅れが生じる点。そして、テレビのリサイクル費用が2,700円、回収費用が500~1,000円であるのに対して、パソコンはリサイクル費用だけで4,000円近くの料金になること、リサイクル費用と回収費用を一本化して徴収するために、家電リサイクルに比べて割高感があることなどが懸念されるという。

 また、10月以降の新製品には、リサイクル費用が上乗せされるために、低迷するパソコン需要動向への影響が少なくないこと、さらに、リサイクルの対象となるパソコンの範囲が、周辺機器のどこまでを指しているのかがわかりにくいこと、事前に費用を振り込んでさらに郵政公社が引き取りにくるという回収方法が、「忙しい消費者にとって手間になる」(岡嶋会長)といった点も懸念している。

 「いずれにしろ、早期の周知徹底が必要であり、パソコンメーカー各社と積極的に協議をして、協力体制をつくりたい」とした。

●10月以降の反動に強い懸念

 岡嶋会長は、個人向けパソコンのリサイクルが、パソコン需要の行方にも影響を及ぼすとの見方にも触れた。

 現在、パソコン需要は過去に例がないほどの低迷ぶりとなっており、NEBA会員会社におけるパソコン本体の販売実績は、1月が前年同月比28.5%減、2月が20.4%減、3月が21.1%減と低迷している。昨年4月から今年3月までの1年間でも前年比21.7%減の3,837億円に留まっている。

 岡嶋会長は、「夏商戦では、リサイクル法施行前の駆け込み需要が見込まれ、一時的に需要が上向く可能性もある。だが、その後の反動が大きくなる可能性もあり、結果として下期の需要が厳しくことも想定される。パソコン需要全体が上向く時期を読むのは難しい状況にある」とコメントした。

 家電リサイクル法の施行の際には、駆け込み需要によってリサイクル対象家電製品の売れ行きが一気に伸びたが、その後の反動による需要低迷が半年以上と長期化した経緯がある。パソコンメーカー各社は下期からの需要回復を期待しているが、岡嶋会長は夏商戦での駆け込み需要が、下期の反動となって表れる可能性があることを懸念していることを強調した。

●ポイント制度に対してはさらにメス

 一方、会見では、カメラ量販店などが実施しているポイント制度についても、改めて懸念を示した。

 昨年の段階で、公正取引委員会が表示ガイドラインを改訂し、ポイントが値引きに当たることや、チラシなどの表示の際に、むやみに最大ポイント率を大きく表示してはいけないことなどが示されたが、「依然として、異常なポイント値引きが横行しており、本来値引きした価格で購入できるはずなのに、余分に支払っているのではないか、といった誤解を招くなど、消費者に対して家電製品の価格に対する不信感をもたらすことにつながる」との懸念を示した。

 岡嶋会長は、昨年、公取委がポイント制度を、「景品」ではなく、「値引き」としたことを評価する一方、「値引きとしたものの、売価から付けたポイントを差し引いたものを実売価としていないため、実際には、値引きと認定した効果が出ていない。公取委では、ポイントが、その後に購入するどの製品で利用されるかわからないため、実売価が把握できないとしており、結果として、仕入れ価格を下回るポイント値引きが行われても不当廉売の対象にはならない。むしろ、従来のように景品と認められていた方が10%を越えた時点で取り締まれる可能性が高い。公取委は、値引きとはっきり認定したが、その先の踏み込みが足りない。今年はその判断を迫りたい」と、ポイント制度にさらにメスを入れる考えを示した。

●デジタル地上波に強い期待

 また、家電量販店が最も期待を寄せているデジタル地上波放送については、「サービスエリアの拡大と、そのスケジュールを明確にしていくことが重要である」と強調した。

 デジタル地上波放送は、東京、名古屋、大阪の3大都市において、年末からサービスが開始されるが、「札幌、仙台、広島、福岡といった他の大都市でのスケジュールが明確でないこと、また、首都圏においてもサービスエリアが限定されており、エリア拡大のスケジュールも明確にされていない点が問題。地上波デジタルは、携帯電話と同じでサービスエリアを早期に拡大することが重要。また、サービスエリアの拡大に時間がかかるようでは、需要にはマイナスにしかならない。とにかく、早く広げてもらうことと、これを周知させることが重要で、行政、関連団体、メーカー、放送局との協力体制をとりたい」とした。

 だが、岡嶋会長は、「会長としての意見ではない」と前置きしながら、「夏商戦の段階で、地上波デジタル放送を喧伝されると、買い控えになる恐れもある。夏商戦を過ぎ、秋頃から周知活動を始めた方が業界にとってはメリットがある」との見方も示した。

□NEBAのホームページ
(4月18日現在、この件に関する情報は掲載されていない)
http://www.neba.gr.jp/
□関連記事
【2002年12月10日】NEBA、10月販売実績を発表、PC低迷に強い危機感
~高額ポイント還元制を不当廉売と批判
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/1210/neba.htm

(2003年4月18日)

[Reported by 大河原克行]


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