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IDF Japan Spring 2003基調講演レポート次世代プラットフォームのデモを多数公開
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会期:4月9日~4月11日
会場:ヒルトン東京ベイ
IDF Japan Spring 2003の2日目となる10日、Intel上席副社長兼CTOのパトリック・ゲルシンガー氏らによる基調講演が行なわれた。
講演全体を通じたテーマは、近年同社が訴え続けている「コンピューティングとコミュニケーションの融合」で、テーマそのものは新鮮味に欠けるものだったが、昨日披露された次世代ノートPC「Newport」や、次世代デスクトッププラットフォーム「Canterwood」、「Springdale」、「Tejas」など多くの動作実機が公開され注目を集めた。
●これからのITは日本市場が牽引
最初にスピーチを行なったパトリック・ゲルシンガー氏は、「始まりか、それとも終わりか」という質問を投げかけ、今後のIT市場の行く末についてのビジョンを示した。
パトリック・ゲルシンガー氏 |
ゲルシンガー氏によれば、あらゆる市場の成長サイクルは、「不合理な増加」に始まり、続いて「不合理な減少」を経て安定した「成長を維持」するステップへと進むのだという。
技術革新などで新たなモノが誕生すると、その市場はまず爆発的な流行により、指数的に成長する。しかしある程度経ったところで、市場は淘汰され、大きく沈むことになる。だが、そのモノが成熟した段階から再び成長を続ける。
このサイクルをIT市場に当てはめると、ドットコムバブルの時代が不合理な増加で、現在は不合理な減少段階にあたる。では、IT市場ではこの減少はさらに進行するのか?
現在、日本のブロードバンドの普及の勢いは世界的にもトップレベルであり、それを追随するように無線LAN市場の規模も拡大しつつある。ゲルシンガー氏は、他に類を見ないほど携帯電話の高機能化が進み、世界を牽引している日本の土壌を鑑みると、今後日本がデジタル社会の革新を担っていくだろう、と述べ、今後のIT市場が成長維持のステップへ進んでいくという考えを示した。
最後にゲルシンガー氏は、ムーアの法則の今後について触れ、現在0.130μmのプロセスルールは、2005年には65nm、2007年には45nmになり、2009年には32nmを実現する目処が立っているとし、数世代先までの道筋は明確であるとの見通しを示した。
市場の成長サイクル | 2009年までのプロセスルールロードマップ |
●モバイルPCではDothan関連技術がデモ
続いて、モバイル・プラットフォーム事業本部副社長兼事業本部長のアナンド・チャンドラシーカ氏がモバイルPCについてのプレゼンテーションを行なった。
アナンド・チャンドラシーカ氏 |
チャンドラシーカ氏はまず、Centrinoマシンを使って、モバイルPentium 4-Mマシンとのベンチマーク性能比較や、柔軟なクロック制御などCentrinoのパフォーマンスの高さを示すデモを行なった。
また、チャンドラシーカ氏は、90nmプロセスを採用した次世代Banias「Dothan(コードネーム)」のシリコンを紹介するとともに、Dothanで用いられるIntel 855GMEチップセットのデモを行なった。
855GMEでは、モバイル向けにさらなる低消費電力技術が盛り込まれているが、その1つである「BIA」と呼ばれるディスプレイ省電力技術がデモされた。
BIAはディスプレイの表現力を変えることなく、ディスプレイの消費電力を削減する技術。詳細な技術内容については明らかにされなかったが、BIAを有効にすると消費電力が半分にまで落ちることが確認された。
また、次世代ノートPCのコンセプトモデル「Newport」の実動デモも行なわれた。9日に披露された本体はトラブルのため動作しなかったが、今回のデモ機は画面も表示。メールを受信すると、セカンダリディスプレイに着信が表示され、それを指でタッチするとメールの内容が表示されるなど、ノートPCの新たな利用像が披露された。
次世代BaniasことDothanの300mmウェハ | Intel 855GMEを搭載したデモ機 | Intel 855GMEはディスプレイ省電力技術により、表示の質を維持したまま消費電力を半減できる |
Newportの実働サンプル | 写真では分かりづらいが、背面ディスプレイには、メニュー、メール数、電波強度、バッテリ残量、時刻などが表示されている。タッチセンサーにより指で操作できる |
●チップシュリンク技術進むハンドヘルド関連
ダリン・ビラーベック氏 |
続いて登壇したワイヤレス・コミュニケーションズ&コンピューティング事業本部副社長兼フラッシュ製品事業本部長のダリン・ビラーベック氏は、ハンドヘルド機器に関連した最新技術を披露した。
現在同社では、チップの容積や消費電力を抑えたまま、1チップあたりのパフォーマンスを向上させる技術開発に力を注いでいる。
その1つが複数のダイを縦に積み重ねるというもので、Flash、RAM、ロジックなどのダイを重ねて配線し、見かけ上1つのチップであるかのようにしてしまう技術。
現時点では4つのダイを1.4mmの高さに重ねる技術が確立されているが、2004年には5つのダイを1mmの高さに重ねる予定だという。会場では8ダイをまとめたサンプルチップも公開された。
複数のダイを縦に積み重ねるスタックチップのロードマップ | 最新シリコンのサイズ比較。中段右はXScaleコア、マイクロ・シグナル・アーキテクチャ、Flashメモリ、SRAM、GSM/GPRS通信モジュールまで内蔵した無線内蔵CPU「PXA800F」。下段はスタックチップ |
●「Tejas」搭載デスクトップPCも公開
最後に副社長兼デスクトップ・プラットフォーム事業本部長のウィリアム・スー氏がデスクトップPCについての説明を行なうとともに、次世代プラットフォームの実機を公開した。
Prescottのウェハを披露するウィリアム・スー氏 |
まず、スー氏は現在のPentium 4「Northwood」の後継となる「Prescott」を紹介。Prescottは、90nmプロセスを採用し、マイクロアーキテクチャ、ハイパースレッディングテクノロジの強化、13個の命令の追加、1MB L2キャッシュの搭載、FSB 800MHz対応といった特徴を持つ。
対応チップセットは「Canterwood」および「Springdale」となるが、両チップセットを搭載したマシンによる実働デモも行なわれた。従来機とのパフォーマンス比較などはなかったため、実性能をうかがい知ることはできなかったが、スー氏は「究極の高性能プラットフォーム」になるとアピールした。
さらに、Prescottの後継CPU「Tejas」を搭載したマシンのプロトタイプも公開された。実際にTejasが搭載されているかどうかは不明だったが、Tejasでは低発熱化がさらに推し進められ、フォームファクタの小型化が可能になるとしており、プロトタイプマシンのケースもブック型程度の小さなものとなっていた。
CanterwoodシステムでTV画面を表示させながら、同時にデジタルカメラの画像を3Dアルバム化してパフォーマンスをアピール | Springdaleシステムを使ってPrescottのハイパースレッディングテクノロジをデモ |
2004年に登場予定のTejas搭載システム。低発熱化により小型化が容易になるという | 2画面を搭載したビジネス向けPCのコンセプトモデル「Marble Falls」も披露された |
□IDFのホームページ
http://www.intel.co.jp/jp/developer/idf-j/
□関連記事
【4月9日】【IDF】2004年のノートPC像を提示
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0410/idf02.htm
(2003年4月10日)
[Reported by wakasugi@impress.co.jp]
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