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松下電器、ひと足早くV字回復宣言
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川上徹也 取締役 |
2月20日発表
松下電器産業株式会社は、2002年度第3四半期連結決算を発表した。
1月からのドメイン別事業体制へと移行した影響もあって、大手電機各社の決算発表から約3週間遅れての発表となったが、結果は前評判通り好調なもの。しかも、通期見通しの上方修正というオマケまでついた。
●「V字回復は実現できた」
発表によると、売上高は前年同期比8%増の1兆8,678億円、営業利益で428億円と前年同期比に比べて1,125億円の増加。税引前利益で451億円、当期純利益で209億円の増収増益となった。
「グローバルの価格競争は激しいが、各セグメントともに伸びている。とくにAV関係を中心に伸びており、まだ水準は低いが、V字型回復は実現できた。当初の見通しは達成できた」(同社・川上徹也取締役)と、V字回復宣言をした。
2002年度第3四半期の業績 | 好調なAVCネットワーク | 主要製品の販売状況 |
分野別には、AVCネットワークが前年同期比5%増の1兆887億円。内訳は映像・音響機器が5,766億円(前年同期比8%増)、情報・通信機器が5,121億円(1%増)。
カラーテレビは、前年割れとなったものPDPが3.5倍、ムービーが15%増、DVDが35%増。「とくに、ムービーは、12.5ポイントもシェアが高まり、28.8%に達した」という。
だが、国内の携帯電話が相変わらずマイナスであること、パソコン用ハードディスクが大幅な低迷となったことを懸念材料とした。なお、携帯電話は欧州、アジアが好調だった。
また、白物家電製品などが中心にとなるアプライアンスは4%増の3,215億円。ノンフロン冷蔵庫などのヒット商品のほか、洗濯機、電子レンジ、掃除機などの主要白物家電分野で軒並みシェアを拡大。第3四半期のシェアは、洗濯機が21.9%(6%増)、掃除機が24.6%(6%増)、冷蔵庫が22.2%(3.9%増)、電子レンジが25.1%(5.1%増)となった。
「この分野は、7%弱の営業利益率があり、なんとしてでも一人勝ちしたい分野」だと位置づけた。
空調機器や電子部品実装機などのインダストリアル・イクイップメントは10%増の609億円となったものの、営業利益でマイナス67億円の赤字。「受注残は低調で、この分野は回復したとはいえない」(川上取締役)と厳しい姿勢を崩さなかった。一般電子部品、半導体デバイスは19%増の3,967億円となった。
V商品の販売業績 |
国内は、前年同期比9%増の8,747億円、海外は、6%増の9,931億円。海外では米州のクリスマス商戦が厳しい結果になったことから、前年同期比4%減となったが、欧州におけるPDPおよびDVD、カメラ付き携帯電話の好調に支えられて23%増。英国19%増、ドイツ24%増、イタリア50%増、フランス9%増と各国とも成長した。一方、アジア・中国は、6%増となり、なかでも中国は46%増と大幅な伸びを見せた。
戦略製品と位置づけているV商品は、当初計画していた88品目のうち第3四半期までに80品目を投入。9カ月累計で7,100億円の販売実績となった。「V商品だけで年間計画の1兆円の売り上げは達成したい」と意欲を見せた。
●電機好調、IT不調の構図が明らかに
同社では今回の業績を受けて、年間見通しを上方修正した。
売上高は、2,500億円プラスの7兆3,000億円。営業利益は、200億円増の1,200億円とした。
売上高の修正幅のうち、これまで連結決算に含めていなかったJVC(日本ビクター)の海外事業分として、売上高で1,900億円を上乗せしたが、V商品や海外事業の好調ぶりも影響している。営業利益については、同社・中村邦夫社長が、「1,000億円は最低限の社会との公約」として、中村改革の成否を占う指標のひとつとなっていた。これを上方修正した点でも、同社の回復が順調に進んでいることが浮き彫りになったといえる。
第3四半期決算からいよいよ黒字転換の兆しを見せ始めたIT・電機各社だが、ソニーの好調ぶりに続いて、今回の発表では、松下電器のひと足早いV字回復宣言となった。そうした意味でも、電機各社に比べて、ITベンダーの低迷ぶりが明らかになったといえる。
通期の売上げを上方修正 |
□松下電器産業のホームページ
(2月20日現在、この件に関する情報は掲載されていない)
http://www.matsushita.co.jp/
□関連記事
【2002年10月30日】松下電器、V字回復に強い自信
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/1030/pana.htm
(2003年2月20日)
[Reported by 大河原克行]
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