アップル、新PowerMac G4シリーズをデモ
~802.11gのAirMac Extremeは2月7日発売

1月31日より順次出荷開始

 アップルコンピュータ株式会社は31日、同日から店頭販売が行なわれている新しい「PowerMac G4」について、報道関係者向け説明会を行なった。これらの製品は米国28日(現地時間)の発表にあわせ、国内でも28日夜にニュースリリースを配布。同社のオンラインストア「AppleStore」にて予約販売が開始されていた。

 今回発表されたPowerMac G4は、昨年8月にリリースされた製品群のマイナーチェンジと位置づけることができる。従来、867MHzデュアル/1GHzデュアル/1.25GHzデュアルの構成だったラインナップを、1GHzシングル/1.25GHzデュアル/1.42GHzデュアルに引き上げると同時に、価格帯の見直しが行なわれた。

 外観はインターフェイスの追加などにともなって一部変更されてはいるが、大きな変更は施されてはいない。また、搭載するマザーボードのアーキテクチャには同社がXserveアーキテクチャと呼び、昨年5月からXserveとPowerMac G4に採用しているものがリビジョンアップされた形で採用されている。

カスタム化が進んでかなり部品点数の少ないマザーボード。青白のPowerMac G3以来、改良を続けながら4年以上も使われている。横がフルオープンする筐体デザインは不変 従来モデルと比べると、1枚1枚が薄くなり枚数の増えたヒートシンクのフィン。整流用に使われていたプラスチックのカバーもなくなった。意外にもビデオカード側にはファンが付いていない

 ユーザーにとって大きな転換となるのが、同社が従来からコメントしている戦略どおりに、Mac OS 9での起動がこのPowerMac G4ではできなくなってしまっている点だ。年初に発表されたPowerBook G4などと同様に、起動システムはMac OS Xに限定される。一方で、Mac OS 9での起動が可能な従来モデルのPowerMac G4 1.25GHzデュアルモデルは414,800円から319,800円へと価格を改定した上で継続販売され、AppleStoreなどで購入できる。PowerMac G4のプロダクトマネジャーを務める鯉田潮氏によれば、このモデルはAppleStoreに限らずMac販売店店頭でも購入が可能で、現時点では6月までの販売継続が確定している。DTP関連など、どうしてもMac OS 9での起動が必要となる一部のユーザーにとっては、これが正規流通品としての最後の機会になりそうだ。

 従来、PowerMac G4と同時にラインナップされてきたデスクトップServer製品(PowerMac G4にMac OS X Serverをプリインストールし、ストレージなどを増量して出荷)は、今回のマイナーチェンジを機に姿を消すことになる。鯉田氏によれば、これはサーバー市場がデスクトップからラックマウントへ移行していることに伴うラインナップの見直しということだ。デスクトップServerを求めるユーザー向けには、AppleStoreによるBTOオプションにMac OS X Serverを加えることで対応を続けるという。

Ethernetポートの上に位置するのが、追加されたFireWire 800のインターフェイス。従来のFireWireポート2基と合わせて、接続した機器には計15Wの給電が可能とのこと。FireWire 800は、変換アダプタを利用することで従来規格のFireWireとしても利用可能 従来モデル同様、放熱孔のめだつ背面パネル。今回のモデルでは、PCIカードのスロットカバー部分も放熱の工夫がしてある。当然、PCIカードを搭載しきってしまえばこの孔はなくなるわけだが、そのときはファンの回転速度が上がって冷却するとのこと 今回の説明会では用意されていなかったが、左に位置するのがAirMac Extreme Card用のminiPCIスロット。右にある六角ネジふたつで固定する部分にはBluetoothモジュールを取り付けることができる

 バンプアップ以外のスペック変更は、FireWire 800の搭載に加え、AirMac ExtremeとBluetoothモジュールのサポートといったように、同社の考える2003年以降の製品標準仕様に沿ったものだ。

 USB 2.0が採用されないことについて鯉田氏は、「FireWire 800が現在考え得る最高の転送速度を実現し、かつ使い勝手のよいインターフェイスであるため、アップルコンピュータとしてFireWire 800を推進するため」と明言した。その上で、どうしてもUSB 2.0が必要なユーザー向けには、サードパーティ製のUSB 2.0インターフェイスを増設するPCIカードの利用を推奨するという。

左が今回発表された20型シネマディスプレイ。1,680×1,050ドットの解像度を持つ。右は89,800円に価格改定された17型スタジオディスプレイ
 細かい点では、PowerMac G4に標準添付されるキーボートとマウスが、iMacなどと同様の白のキートップを搭載するモデルに置き換わっている。これは現状のPowerMac G4の主たる運用環境では白のほうが視認性が高いというユーザーのニーズに応えたものとのこと。

 また1.42GHzデュアルに標準搭載されるSuperDriveは、DVD-R 4倍速書き込みに対応したドライブが採用された。180GBモデルがBTOオプションに加わったHDDについては、すべてUltra ATA/100対応の7,200rpmの製品を揃えているということだ。

 また、従来モデルでユーザーからもっとも指摘のあった運用時における冷却ファンの騒音については、dB値など具体的な数字こそ明らかにしなかったものの、「さまざまな部分に改良を加えて改善を施したつもり」とコメントされた。個人個人の感じ方という要素もあるので、実際に店頭などで確認してみて欲しいという。前回の記事と写真を比べて見てもらうとわかるが、ヒートシンクのフィンの枚数が増えているなど、一見してわかる改良点も少なくない。

 同時に発表された20型シネマディスプレイは、1,680×1,050ドットの解像度で、正確に16:10のアスペクト比を実現。これは最上位モデルである23型シネマHDディスプレイのアスペクト比と同じである。20型シネマディスプレイは、これまでラインナップされていた22型モデル(1,600×1,024ドット)に比べて解像度が向上している点などをあげ、ラインナップの更新が説明された。ちなみに、20型シネマディスプレイは、Mac OS Xでのみ動作が保証される。Mac OS 9で利用した場合、画面は表示されるものの輝度調整が行なえないなど、機能的な問題が少なからず存在するということだ。

BTOオプションで用意されるNVIDIA GeForece4 Titaniumと、ATI RADEON 9700Pro 20万円という大幅な価格改定が行なわれた23型シネマHDディスプレイをはじめ、新構成となったディスプレイのラインナップ。従来22型モデルが位置していたミッドレンジに、より高解像度の1,680×1,050ドットとなった20型が位置する こちらも価格が19,800円から11,800円へと改定されたApple DVI-ADCアダプタ


●AirMac Extremeベースステーションは2月7日から販売開始

 PowerMac G4に引き続いて、ポータブル製品のプロダクトマネジャーである福島哲氏から、AirMac Extremeについての説明があった。1月8日の発表時には、1月末に出荷予定と案内されていたが、店頭では予定よりやや遅れて2月7日に販売を開始するという。ただ、BTOによるPowerBook G4 12型モデルへのAirMac Extreme Card導入については、準備のできたものから行なっているということだ。

 注目されるIEEE 802.11gの採用については、すでにホットスポットなどで多用されているIEEE 802.11bとの互換性を一番大きな理由に挙げ、「IEEE 802.11aに対しては低消費電力や室内など遮蔽物のある空間での高速転送時における効率などでIEEE 802.11gにアドバンテージがあると説明した。また、802.11gの規格が現在策定中であるという点については、確定時にファームウェアのアップデートで対応が可能だ」としている。

標準状態ではIEEE 802.11b/g互換モードで動作するAirMac Extreme BaseStation。管理ユーティリティによる設定で、11b単独、11g単独という動作モードも設定可能 日本では法規上、無指向性の1機種のみが出荷される拡張アンテナ。価格や販売時期については販売代理店と検討を重ねている段階とのこと AirMac Extremeで新しくサポートされたワイヤレスブリッジ機能。これまで、有線LANでのみ拡張していたエリアをワイヤレスで拡張することができる

 AirMac Extreme BaseStationは従来のAirMac BaseStationモデルに対してIEEE 802.11gの採用以外にもさまざまな変更が加えられている。WAN側のEthernetポートが100Base-Tに対応したことをはじめ、USBインターフェイス、上位モデルでの拡張アンテナポートの搭載などがある。このうちUSBインターフェイスについては、USBプリンタ専用となり、接続されたプリンタはクライアントとなるMac側からはRendezvousプリンタとして認識されることになる。

 米国ではサードパーティから2モデルが発表された拡張アンテナは、日本国内では法規の関係上、到達範囲の限られる無指向性モデルのみが販売されることになる。現在は発売元となるDr.Bott社の国内代理店との間で、販売価格や販売時期などを調整している段階だそうだ。

 AirMac Extreme BaseStationの運用にあたって、クライアントとなるPCはMac OS X、Mac OS 9、各種WindowsとOSを選ぶことはないが、BaseStationの設定には、Mac OS Xを搭載したMacintoshが必要となる。これは新しい管理ユーティリティが、Mac OS X向けのアプリケーションとしてのみ提供されるためだ。従来のMac OS 9向け管理ユーティリティは利用できない。この管理ユーティリティはBaseStationに同梱される。対応するMac OS Xは、バージョン10.2以降。10.1.5でも利用可能だが、その場合は同社ホームページなどから、Networkアップデートソフトを導入する必要がある。

 なお、AirPort Extreme BaseStationについては、出荷後に詳しいレポートを予定している。

無線LANのアクセスポイントとしてははじめて搭載することになるというトランスミッションパワーコントロール。送信電波の強さを調整して到達範囲を調整 新しく搭載されたUSBポートは、USBプリンタ専用。上位モデルには、内蔵モデムと拡張アンテナポートが追加される 内蔵モデムを搭載する上位モデルでは、モデムを利用してリモートアクセスできる。外出先からのファイルアクセスや、リモートメンテナンスが可能に

□アップルコンピュータのホームページ
http://www.apple.co.jp/
□製品情報
http://www.apple.co.jp/powermac/(PowerMac G4)
http://www.apple.co.jp/airmac/(AirMac Extreme)
□関連記事
【1月29日】アップル、FireWire 800搭載の新型Power Mac G4
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0129/apple.htm
【2002年8月19日】システムアーキテクチャと内部構造を一新したPowerMac G4
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0819/apple.htm

(2003年1月31日)

[Reported by 矢作 晃]


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