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ソニー、大賀取締役会議長が退任
~報道陣からも異例の拍手

大賀典雄氏

1月28日 開催



出井会長とツーショット

 ソニーは、取締役会議長の大賀典雄氏が、1月29日付けで取締役議長および取締役を退任すると発表した。

 28日の取締役会で大賀氏から退任の申し入れがあり、取締役会が了解した。

 大賀氏は、「一昨年、北京で倒れて、3カ月間に渡り意識不明のままであったが、その後中国および日本の医療チームの医療技術によって、しゃべれるようになり、考えれるようになり、そして、歩けるようになった。だが、今日の会見でも、立ち上がって挨拶をすることができず、立ち居振る舞いも普通ではない状態である。このままでは、ソニー株式会社の最高責任者の一人として、気分がのらない。72歳最後の本日、出井さん(=会長兼CEO)に申し出て、第一線から引かせてほしいと話した」と退任の理由について話した。1月30日から、名誉会長に就任することになる。

 大賀氏は、'30年生まれ、静岡県沼津市出身、東京芸術大学音楽学部を卒業後、ベルリン国立芸術大学音楽学部を卒業するなど、音楽家としての道を歩んでいたが、「盛田さん、井深さんに、人生を強引に曲げられて」(大賀氏)、ソニーに入社。

 その後、ソニーを世界に通用するメーカーに育てあげた。'64年に34歳で取締役に就任後、38年間に渡り、ソニーの取締役を務めたことになる。今後の商法改正などを考えれば、同社最長の取締役経験者としての記録は今後破られることはなさそうだ。'89年には社長兼CEOに就任、'95年には代表取締役会長に就任、2000年から現職。日本電子機械工業会会長、経済団体連合会副会長を歴任した。

 大賀氏は会見で、「'59年にソニーに入社した途端に、第2製造部長とともに、宣伝広告、デザインを任された。盛田さんが3つの部長を私に任せたのは、忙しくて、(音楽分野など)他に行く暇を与えないということを狙ったのだろう。そうした点でも盛田さんは天才だ」と話し、笑いを誘った。

 また、「世界ハードメーカーのなかで、最もすばらしいデザインを作るチームを作り上げることと、ソニーの広告を見て、多くの人がすばらしいと思ってくれることに力を注いだ。最も印象に残った製品は、私がソニーに入社して最初に手がけたテープレコーダーのTC-777('61年)である。ダイキャストボディで、いまでも美しいと自画自賛している」と話した。

 質疑応答では、「いまの経済をどう見ているのか」といった質問に対して、「今の経済を改革するには、よっぽど頭が良く、やる気があり、強靱な神経の持ち主であるという3つが揃った人が必要。今のリーダーのなかにそういう人がいるのか疑問だ。天才が必要であり、草の根を分けてでも、そういう人を掘り出して、日本の舵取りをしてもらいたい」とした。

 現経営陣に対しては、横に座った出井会長を指しながら、「こういう優秀な人が経営しているので、私は、一切、言い残さなかった。ベストを尽くしてもらえればいい。出井さんを私の後任に選んだことは後悔していない」とした。

 さらに、「生まれ変わってもソニーに入るか」との質問に対しては、「盛田さん、井深さんの2人は、違いこそあれ、2人とも本当の天才だ。一緒にソニーのマネジメントをやらせていただいたことは誇りである。人生には大きなプラスであった。生まれ変わっても、ソニーに盛田さん、井深さんがいれば、ぜひソニーに入りたい」と話した。

 会見終了後、ひな壇をゆっくりと降りる大賀氏に対して、報道陣からは、異例ともいえる拍手が起こった。

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200301/03-003/

(2003年1月28日)

[Reported by 大河原克行]


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