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液晶パネル業界の動向は荒れる?!
~シャープ、2003年年頭記者会見を開催

シャープ株式会社代表取締役社長の町田勝彦氏

1月10日開催



 シャープ株式会社は、2003年年頭記者会見を開催、同社の液晶テレビを始めとする事業展開について発表した。

 冒頭で同社代表取締役社長の町田勝彦氏は、「景気はあい変わらず厳しい状況にあるが、シャープとしては自助努力でこの景気に立ち向かっていく必要がある」と切り出し、シャープの今年度の事業展開について解説した。

 町田氏は2003年度の事業指針として、「オンリーワン商品戦略の強化」を掲げた。それにともない、ユビキタスアプライアンス、ファインアプライアンスの2つの分野で商品を強化していくことを明らかにした。

 ユビキタスアプライアンスでは、ひとつの製品でさまざまな情報を取得できるような端末を実現するとし、テレビで携帯電話からのショートメッセージを表示したり、モバイル端末で撮影した写真などをパーソナルサーバーなどで管理し、いつでもどこでも利用できるよにする、などが含まれる。

 ファインアプライアンスでは、自然環境との共生や、ケミカルエレクトロニクス技術により、身の回りの環境を綺麗にする暮らしを実現することをテーマとし、太陽電池など自然エネルギーの利用や、ブラウン管からフラットパネルディスプレイへの移行による住環境の改善、空気清浄機などをはじめとした、環境改善のためのデバイス開発などが含まれる。

ユビキタスアプライアンスのイメージ ファインアプライアンスのイメージ 液晶テレビの需要予測。2005年には800万台に

 同社の重点事業である、液晶テレビについて町田氏は、「今年は液晶テレビやプラズマディスプレイ(PDP)の生産・販売台数が、従来のブラウン管テレビのそれを追い抜く、エポックメイキングな年となる」とし、液晶テレビについては「2002年は約95万台の出荷実績があるが、2003年には200万台程度の需要が見込めると考えている」と語った。

 「従来は液晶パネルと言えば30型までが限界と言ってきたが、現在では37型の液晶パネルも開発され、来年初頭には40~50型のものも可能になる。今までは液晶とPDPは棲み分けができると考えてきたが、液晶でも大画面パネルが実現可能になったことで、棲み分けから共存へと移行すると考えている」とした。

 液晶テレビの需要予測は、2004年には550万台、2005年には800万台に達するという。

 また液晶パネル業界の動向については、今年は若干荒れることが予想されるとし、「液晶テレビを始めとする大型の液晶パネルの価格は、昨年から下落傾向にあり、今は下げ止まっている。しかし、再度値下げ傾向に向かう可能性も否定できない」と述べた。また、携帯電話やPDAなどへ採用される中小型の液晶パネルについては「携帯電話などへのカラー液晶の搭載、高精細化が進むことにより、堅調な成長が予想される」とした。

 白物家電製品全般については、「白物家電は昨年から健康家電へとなりつつある」と説明。昨年大ヒットしたプラズマクラスターイオン空気清浄機などを例にあげ、従来は性能競争に終始していた白物家電は、効能競争へ移行しつつあるという認識を示した。

 最後に町田氏は、「ちょうど2年前の1月に『極・製造業』という指針を発表した。それを受けて、この2年のあいだに国内に3つの工場を建造し、液晶パネルなどを生産している。特徴のあるデバイスを製造し、特徴のある製品を販売することが製造業には重要だ」、「現在は海外に生産拠点を持つメーカーは多いが、業種によっては必ずしも利益率は上がらない。製造業は世の中にないものを、いかにして作り出すかが重要で、まだまだ探せば国内で利益が出るものは沢山ある」として締めくくった。

 発表会後の質疑応答では、「製造拠点を国内に残すことで利益を得られる産業とはなにか?」という質問に対し町田氏は、「国内に残すことが可能な業種とは、垂直統合型の製品、つまりインテグレート型の製品となる。部品ごとに規格があるモジュラー型の製品では、基本的にモジュラーを組み上げるだけで製品が出来上がる。そのため資本力や人件費の違いが特に顕著に現れ、海外で生産するほうが圧倒的に効率がいい。インテグレート型の製品は、製品単体で完結しており、製造段階での調整やノウハウが必ず必要になるため、必ずしも海外生産が有利にはならない」と解説した。

 また、「液晶テレビが大型化することでPDPとの共存ではなく競合になるのでは?」という質問に対しては、「共存というのはあくまでフラットパネル業界全体での話。シャープとしては最終的には液晶テレビ一本に絞るのが妥当と考えている」とした。

□シャープのホームページ
(1月10日現在、この製品に関する情報は掲載されていない)
http://www.sharp.co.jp/

(2003年1月10日)

[Reported by kiyomiya@impress.co.jp]


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