Macworld Conference&Expo / San Francisco 2003 展示ホールレポート

Firewire800(IEEE 1394b)対応の外付けHDDが登場


会場:San Francisco The Moscone Center
会期:1月7日~10日(現地時間)



●Firewire800対応の外付けHDDが数社から出展

 展示ホールの見所のひとつは、Apple Computerが新製品の17型PowerBook G4に搭載する形で採用を始めた、FireWire 800ことIEEE 1394bインターフェースに対してのサードパーティの対応状況だろう。展示ホールをくまなく歩き回ってみると、数社から対応製品が出展されていた。

 Maxtor、LaCie、macally、SmartDiskなどお馴染みのサードパーティでは、いずれも参考出展あるいはプロトタイプとしながらも、外付けのHDDが出展されていた。実際に内蔵されているドライブ自体はATA/133インターフェースを持つ7,200rpmクラスの高速大容量ドライブなどだが、Oxford SemiconductorのIEEE 1394bコントロールチップ「OX922」を搭載したインターフェースボードにより、Firewire800インターフェースに変換されている。そのため外観こそ少しずつ異なってはいるものの、背面のコネクタ配置などはほとんど共通で、事実上同じ製品がケースや搭載ドライブを変えて展示されているといった状況だ。

 いずれのメーカーも、価格や販売時期についてはほとんど未確定というコメントだったが、唯一LaCieだけがメドとして3月頃というやや具体的なスケジュールを提示している。LaCieでは、HDDに続いて、外付けの光学式ドライブ製品にも対応の幅を広げていきたい考えだ。

□Oxford Semiconductor(英文)
http://www.oxsemi.com/

Maxtorブースに展示されていた製品。コンセプトモデルということで、なかなか凝ったデザインになっている。7,200rpmで200GBのHDDを内蔵しているという Oxford Semiconductorのブースに展示されていたMaxtorの製品。同社のコントロールチップを採用しているということで展示。背面には2つのFirewire800のインターフェースが見える LaCieもFireWire800対応製品をデモ。今回は外付けHDDのみだが、いずれ光学式ドライブへも対応の幅を広げていくとのこと。こちらはプレスリリリースで「OX922」の採用が正式に発表されている
macallyのブースに参考出展されていたもの。こちらにはUSB 2.0のインターフェースも見える。「OX922」はUSB 2.0にも対応しており、搭載されているインターフェースボードは各社ほぼ共通の仕様と考えれられるため、他社の製品はこの部分が隠されているものと思われる こちらもUSB 2.0とFirewire800の両対応となっているCentury Corporationの「IceCube」
SmartDiskのFirewire800対応HDD。USB 2.0にも対応している。展示している製品はプロトタイプということで180GBのユニットを入れているが、出荷時は200GBになるとのこと。2~3カ月先に出荷を予定しているという Oxford Semiconductorブースに展示してあるIDEとFirewire800/USB 2.0のブリッジボード。もちろん「OX922」が搭載してある。会場内に展示されているほとんどのFirewire800対応HDDは、ほとんどがこのボードを利用している模様Unibrainが参考出展しているFirewire800拡張ボード「FireBoard 800」。64bitPCIバス対応のPowerMac G4などにFirewire800インターフェースを拡張する。対応するOSは、Mac OS X 10.2.3以降をサポート

●Airport Extreme用の拡張アンテナを出展するDr.Bott

 今回発表されたAirPort Extreme(日本ではAirMac Extreme)で、ベースステーションの上位モデルには外部アンテナコネクタが用意されている。ここに接続可能な外部アンテナ「ExtendAIR」を出展しているのがDr.Bottだ。

 これらの拡張アンテナを接続することで、ベースステーション自体が持つ約45mという接続半径(IEEE 802.11b接続時)をさらに拡大できる。発表された製品には2種類あり、ひとつは無指向性アンテナの「ExtendAIR Omni」、もうひとつは指向性の「ExtendAIR Direct」である。

 無指向性アンテナの「ExtendAIR Omni」は電波の到達距離を約75mまで拡張するため、ベースステーション単体に比べて、接続半径が約3倍になる。いっぽう、指向性アンテナの「ExtendAIR Direct」は、約70度の照射範囲に限定して150m先まで電波を飛ばせる製品だ。米国内での価格は前者が99.95ドル、後者が149.95ドルに設定されている。

 今のところ、同社がAppleからコネクタの供給を受けている唯一の会社という位置づけで、AppleStoreでの製品販売も予定されている。日本でも電波法に基づく検証が済み次第、販売が始まる模様だ。日本国内価格などは発表されていないが、Dr.Bottの国内代理店であるヘビームーンが販売するものと思われる。これらの拡張アンテナを利用できるのは、モデム、拡張アンテナを搭載するベースステーションの上位モデル(国内価格28,800円)に限られる。

無指向性拡張アンテナの「ExtendAIR Omni」。AirPort Extreme Base Stationの接続半径を約3倍に拡大する。米国内での販売価格は99.95ドル 指向性拡張アンテナの「ExtendAIR Direct」は、約70度の照射範囲に限定して150m先まで電波を飛ばす。米国内での販売価格は149.95ドル Dr.Bott社のブース。これまで日本向けにはヘビームーンを通して、ADC-DVIの変換コネクタを始めとするディスプレイケーブルのコンバータ、アダプタなどを販売している

□Dr.Bott社のホームページ(英文)
http://www.drbott.com/

●Apple Computerとのリレーションシップは継続とMicrosoftがコメント

展示ホール内のMicrosoftブースでは、Mac OS X対応のMSNクライアントをトライアル。日本での展開についてはまだ未定という

 米Microsoftは8日、The Moscone Centerの一室で、米国以外から訪れたメディア関係者を対象にブリーフィングを実施した。Microsoft側からのメッセージとしては、これまで単体販売されていなかったOffice v.Xのコンポーネント「Entourage X」が、米国で99ドルで単体販売開始されることがアナウンスされた。日本市場でも9,800円で1月24日から販売が始まる。また、昨日の基調講演でスティーブ・ジョブズCEOからも語られたことだが、Mac本体とOffice v.Xの同時購入による割引キャンペーンをワールドワイドで4月7日まで延長することなどが紹介された。

 記者からの質問は、昨日の基調講演でAppleから発表されたWebブラウザの「Safari」、プレゼンテーションソフトの「Keynote」など、Microsoftと競合する製品についてのコメントや、今後の両社の関係についてという部分に集中した。製品については、よきコンペティターとしてユーザーにより良い製品を提供し、幅広い選択肢をもたらすことを歓迎するとコメント。Internet Explorerについても、具体的な予定はコメントできないとしながらも次期バージョンの開発は継続することを約束した。また今後も両社のリレーションシップにはなんら変わりがないことを改めて強調している。

●そのほかの注目製品

 そのほか、展示会場で見つけたユニークな製品を、写真を中心に紹介する。

展示会場レポートではお馴染みのGriffinTechnorogyは「iTrip」を出展。iPodのヘッドホンインターフェースに接続するFMトランスミッターだ。電力はプラグ部分から供給されるので利用時は差し込むだけ。カーステレオなどのFMラジオで、iPod内の音楽を楽しむことができる。この写真はプロトタイプとのことだが、3月頃には35ドル程度で出荷される見込み AirPortベースステーションの設置位置の自由度を高めるというケーブル。Ethernetケーブルの使用していない線を利用して電力供給する仕組みだ。フル結線のケーブルの両端にRJ-45プラグと、DC用のコネクタを分岐するアダプタを取り付けて利用する。長さの限られるACアダプタをテーブルタップなどで延長せずに済むという macallyの出展したミニタブレット。付属のソフトウェアで英文字の自動認識もできる。ちょっとしたメモ書きに便利とのこと。価格は39.99ドル
SLIM DEVICEの「SLIMP3」。MacやPCとLAN接続して、PC内のMP3データをストリーミング再生するユニットだ。音声の出力は、ユニットからオーディオケーブルでステレオなどのライン入力に接続して行なう。家庭内LANなどを使ってPCのない部屋でもPC内の音楽を楽しめる。操作はユニットに付属のリモコンでも可能。ワイヤレスLANによる接続のデモも行われていた Rain DesignのiMac専用デスク「iGo」。テーブルにスピーカーの固定場所があるほか、ケーブル類は下の半球内にまとめておくことがきる。この半球はライトアップして、手元の明かりにもなる。脚にはキャスターが付いており、自由に移動可能だ。背の高いスタンドタイプと、椅子で利用するタイプがあって、Macworld特別価格が前者は449ドル、後者は399ドルとのこと。個人で利用するには勇気のいる価格だが、店舗のディスプレイなどには向いていそうだ Harman Multimediの新しいPC向けスピーカー「JBL invader」。4.1chのサラウンド再生が可能。いつもどおり、見かけもユニークな製品だ

●Macworldの規模は縮小が続く

展示ホールをあとにして、エントランスに向かうと次回以降の開催日程が目に入る

 今年のMacworldも、展示ホールには例年どおりThe Moscone Centerの南ホールそして北ホールの両方が使用されている。しかし、出展社数の減少と各社の展示規模が縮小傾向にあるせいか、どちらの展示ホールもホール内をパーテーションで区切り、ホールすべてを利用しているわけではない。さすがにまだいずれか一方にすべてが収まるという段階に至るほどではないにせよ、規模縮小が続けばいずれはそうした事も起こりうる可能性がある。

 今年7月にNew Yorkで開催されるMacworldへの、Apple Computerの出展はまだ正式には決まっていない。主催者であるIDGが打ち出した2004年からの、Boston移行を巡って両社での綱引きが続き、不透明な部分も少なくない。それでもThe Moscone Centerのエントランスには、7月のNew York開催と、ここSan Franciscoでの来年のMacworldの日程が掲示されていた。ちなみに、NewYork開催は7月14日から18日、San Franciscoは2004年1月5日から9日となっている。

□Macworld Conference&Expoのページ(英文)
http://www.macworldexpo.com/
□米Apple Computerのページ(英文)
http://www.apple.com/

(2003年1月10日)

[Reported by 矢作晃]


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