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ソースネクスト
驚速ADSL
ブロードバンド環境を手軽に高速化するユーティリティ
TEXT:清水理史 Masashi Shimizu


 ソースネクストから、同社の驚速シリーズの最新製品「驚速ADSL」が登場した。この製品は、その名のとおり、ADSLを利用したインターネット接続を高速化するためのユーティリティだ。

 ただし、高速化すると言っても、回線速度以上のスピードが出るようになるわけではない。驚速ADSLが提供するのは、PC側のネットワークパラメータの変更によって、使用している回線の潜在能力を引き出すという機能だ。

非常に分かりやすい設定画面。使用しているADSLの回線速度を選択して、「高速化」ボタンを押すだけだ ADSLを高速化するためのチェックリストも参照可能。ADSLの高速化、もしくはトラブル解決の参考になる

手動で高速化の調整を行なうことができる。具体的にはRWINの値を手動で変更する。スライダーを左側にするとRWINの値が大きくなり、右側にすると小さくなる
 具体的には、MTU(Max Transfer Unit)とRWIN(Receive Window Size)の調整を行なうのが主な機能となる。MTUとは、データを伝送する際のパケットサイズの上限値のことだ。この値が小さ過ぎるとデータを伝送する回数が増えてしまい、逆に大き過ぎると細かなデータを伝送するときの効率が悪くなってしまう。一方、RWINは簡単に説明するとデータを受信する際のバッファ量のことだ。通信相手は、受け手のバッファが一杯になるまで、受信側の応答を待たずにデータを送り続けることができる。

 このため、この値を大きくしておけば、データを送受信するPC同士の応答回数が減り、効率的なデータ伝送ができることになる。ただし、この値もMTU同様、単純に大きくすればよいというわけではなく、通信相手との関係によって適切な値にしなければならない。

 通常、これらMTUやRWINは、OSの初期状態で適切に設定されてレジストリに書き込まれているが、ADSLなどの環境が普及する前に登場したOS(Windows 98など)では、回線速度の遅いダイヤルアップ接続向けに最適化されている場合がある。また、Windows XPなどの最新のOSでも、自分の回線状況や接続先のルーターなどの設定によって、最適な値に変更することで速度が向上する場合がある。

 そこで、驚速ADSLでは、ユーザーの環境を調査し、この値を適切に変更するわけだ。この手のチューニングは、マニアの間ではフリーソフトなどを使ってすでに行なわれている方法だが、驚速ADSLはボタン一発で、この値を最適に変更でき、詳しい知識が一切不要という点が特徴と言える。

 ただし、この設定変更による効果は、前述したようにユーザーの環境に大きく左右されるため、すべての環境で必ず効果があるとは言い難い。試しに自宅のフレッツ・ADSL 1.5MbpsとアッカのADSL 8Mbpsの両方でテストしてみたが、どちらも驚速ADSL導入前と変わらないか、若干転送速度が低下する傾向が見られた。これは、ブロードバンドルーターを経由した場合も、ADSLモデムをPCに直接接続した場合でも同じ結果だったので、どうやら筆者の環境では効果がないと見られる。ユーザーの環境によっては劇的な効果が期待できるかもしれないが、逆に転送速度が落ちてしまうケースもあるわけだ。

DNSキャッシュは標準ではONにならない。利用する場合は、詳細設定で必ずONにしておこう。これにより、インターネットの混雑時などでもWebページを表示するレスポンスが向上する
 しかしながら、驚速ADSLに搭載されているもう1つの機能「DNSキャッシュ」は体感できるほどの効果が見られた。Webブラウザなどで特定のサイトにアクセスする際は、URLに入力されたドメイン名をIPアドレスに変換する作業が必要になるが、DNSキャッシュではこの情報をPCにキャッシュすることで、インターネット上のDNSサーバーに問い合わせるボトルネックを軽減することができる。このため、インターネット自体が混雑している場合やプロバイダのDNSサーバーのスペックが低い場合などは、かなりの効果が期待できる。実際、この機能を利用すると、Webブラウザにページが表示される前の一瞬の間がなくなり、非常に表示が速くなった印象を受けた。

 このように驚速ADSLは、どちらかと言うとADSLの高速化と言うより、ネットワーク環境の最適化を行なうためのユーティリティであると言える。ノイズなどの関係で回線速度自体が低い場合には効果はないが、OSなどの設定の関係で速度が活かせていない場合には効果が期待できる。すべての環境で効果がある万能のユーティリティではないが、DNSキャッシュ機能も搭載されているので、価格を考えれば試してみるのも悪くはないだろう。

・製品名:驚速ADSL
・標準価格:パッケージ版4,900円、
      ダウンロード版3,900円
・問い合わせ先:ソースネクスト株式会社
・TEL:03-5350-4844(ソースネクスト・カスタマーインフォメーションセンター)
・URL:http://www.sourcenext.com/
・対応OS:Windows XP/Me/98/2000
▼動作環境
 ●Windows XP
  ・CPU:MMX Pentium 233MHz
  ・メモリ:64MB以上(128MB以上推奨)
  ・HDD:5MB以上
 ●Windows Me/2000
  ・CPU:Pentium 150MHz
  ・メモリ:64MB以上
  ・HDD:5MB以上
 ●Windows 98
  ・CPU:Pentium 75MHz
  ・メモリ:32MB以上(64MB以上推奨)
  ・HDD:5MB以上

■写真撮影
若林直樹(STUDIO海童)

□ソースネクストのホームページ
http://www.sourcenext.com/
□製品情報
http://www.sourcenext.com/products/adsl/
□関連記事
【3月26日】スタパ齋藤のスタパバンド(Broadband)
「驚速ADSL」で高速化にチャレンジ
http://www.watch.impress.co.jp/broadband/column/stapa/2002/03/26/index.htm
【3月18日】ソースネクスト、「驚速ADSL」の効果がなかったら全額返金(Broadband) http://www.watch.impress.co.jp/broadband/news/2002/03/18/kyosoku.htm
【2月15日】ソースネクスト、ADSL環境を最速化する「驚速ADSL」シリーズ(Broadband)
http://www.watch.impress.co.jp/broadband/news/2002/02/15/source.htm

(2002年4月15日)


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