Game Developers Conferenceレポート


3Dlabsインタビュー コンシューマ向けGPU開発の可能性を示唆

GDC 3Dlabsブース

会期:3月19日~3月23日(現地時間)

開催地:San Jose McEnery Convention Centerなど



 3Dlabsはグラフィックスワークステーション向けのビデオチップ(GPU)ベンダとして名を馳せている企業であるが、かつてはコンシューマ向け市場にPERMEDIAシリーズを投入していた時期もあった。

 PERMEDIA 2はNVIDIA RIVA128シリーズに匹敵する性能を持っていたため注目を集めたが、'98年に期待されながら登場したPERMEDIA 3は、NVIDIA RIVA TNTシリーズに性能的に及ばず、ヒットには至らなかった。この後、間もなくコンシューマ向け市場から撤退を表明、以降はグラフィックワークステーション用GPU 1本の開発体制になる。

 3月11日、Creative Technologyはその3Dlabsの買収を発表した。Creativeは、同社の代表製品である「SoundBlaster」シリーズを始めとした、コンシューマ向けPCデバイスのベンダーだ。Creativeが3Dlabsを買収したということは、「3DlabsがPERMEDIA 3以来のコンシューマ向けGPUを開発し、これをCreativeが持つチャネルで販売していくのではないか?」というシナリオが思いつく。

 3月22日、Game Developers Conferenceに参加していた3Dlabsにインタビューを申し込んだところ、OKが得られたので、この辺りの質問をぶつけてみた。話をしてくれたのは3Dlabs Product Marketing Consultant Terry Palek氏だ。


西川:3Dlabsは、コンシューマ向けGPU市場に復帰するのか?

Palek:その予定があるが詳しいことは話せない。

西川:その際にはCreative製品として販売される?

Palek:おそらく、そうなることだろう。Creativeはサウンドデバイスに関してはCambridgeシリーズを初めとしてハイエンドユーザー層に対しても高い評価を受けている。これからは、グラフィックス分野においてもハイエンドユーザーへ訴求力の高いものを提供することを考えているのだと思う。

西川:すると、たとえばPERMEDIAシリーズが復活するとか。たとえばPERMEDIA 4とか。

Palek:その名前になることはないだろう。

西川:3Dlabsのグラフィックワークステーション用ビデオカードとしての最新モデルとして「WildCat III」がある。NVIDIAのQuadro4はGeForce4 Tiベース、ATIのFire GL 8800はRADEON 8500ベースであるように、新3Dlabsコンシューマ向けGPUはWildCat IIIベースになる?

Palek:それはすごく大胆な想像だ(笑)。今は何とも言えない。ただし2カ月以内に今後の具体的な3DlabsとCreativeの共同プロジェクトについてアナウンスする予定になっている。


WildCatIIからIIIへの相違点を図解した資料。WildCatIIでは、もともとジオメトリプロセッサとレンダリングプロセッサが独立したロジックであったが、WildCatIIIではこれを1チップに統合、さらに統合の際にPGUとセットアップエンジンを1基ずつ増加させている
なお、この画像の掲載についてはTerry Palek氏に許可をいただいている

 GDCで公開されたWildCat IIIのブロック図(WildCat IIからIIIへの相違点を図解した資料)を見ると、WildCat IIでは、もともとジオメトリプロセッサとレンダリングプロセッサが独立したロジックであったが、WildCat IIIではこれを1チップに統合、さらに統合の際にPGUとセットアップエンジンを1基ずつ増加させているという。

 PGUとはProgrammable Geometry Unitの略でイメージ的にはDirectX系でいうところのプログラマブル頂点シェーダに相当するものだ。

 ユニークなのは、ジオメトリ処理系→レンダリング処理系までの流れが完全独立2系統あるという点だ。そして、それぞれがフレームバッファとテクスチャバッファを共有している。いわゆるデュアルGPU構成ともいうべきアーキテクチャで、これはいわゆるPCアーキテクチャにおけるデュアルCPU構成に近く、非常に贅沢なデザインだ。

 なお、ビデオメモリやフレームバッファ以外に「DirectBurst」バッファと呼ばれる3Dlabs独自のワークバッファ機構が実装されており、これを効果的に活用することでこの独立した2系統レンダリングパイプラインが高効果的に働くとのこと。



西川:こうしたマルチパスレンダリングに特化したアーキテクチャは非常にユニークだと思う。これを、コンシューマ向けのリアルタイム3Dグラフィックス用に多少モディファイして出せば、かなり魅力的なものになるのでは?

Palek:やはりゲーム向けとグラフィックワークステーション向けGPUでは基本コンセプトが違うので単純にそうはならない。

西川:もし、3Dlabsが、コンシューマ向けGPUを開発したとしたら、WildCat IIIとは別の新規アーキテクチャを採用したものになる?

Palek:基本的にはそうなるだろう。もちろんWildCat IIIで採用している新技術がフィードバックされることは必ずあるとは思うが。

西川:ブランクの長かった3DlabsがそれでNVIDIAやATIに対して対抗できると考えている?

Palek:PERMEDIA 3以降、コンシューマ向けGPUのリリースはしていなかったが、我々はGPU事業から完全に撤退していたわけではない。我々が開発してきたグラフィックスワークステーション用GPUは常に業界トップクラスの性能だし、ユーザーから高い評価を受けている。そして、その高い技術力はコンシューマ向けGPUの開発にも活かせると確信している。

西川:たしかにWildCat IIIはDirect3D環境下で動作させるとDirectX 7対応フィーチャーまでの対応になっている。そのままコンシューマ用に持っていってもゲームユーザーには見向きもされないだろう。

Palek:私は、我々の開発陣がどんなものを開発しているかまでは知らないが、GeForceやRADEONに対して競争力のあるものが出てくると信じている。

3Dlabs WildCatIIIとATI FIRE GL8800,NVIDIA Quadro4 700XGLとの描画性能比較。こうしたデータを見せられると新3Dlabs製GPUには期待せずにはいられない
この画像の掲載についてはTerry Palek氏に許可をいただいている

 具体的な情報は「2カ月以内に何らかのアナウンスがある」ということ以外は聞き出せなかったが、3Dlabsがコンシューマ用リアルタイム3Dグラフィックスプロセッサを開発しているらしいことは、話の流れの中で手応えとして感じることができた。

 DirectX 9の新フィーチャーであるディスプレースメントマッピング技術をMatroxが率先して研究を進めていることがGDCで明らかにされた。ここ数年NVIDIA VS ATIの図式で進んできた「ビデオカード戦争」に、近い将来、Matroxが絡んでくる可能性が高いと見られている。ここにさらに第4のプレーヤー3Dlabsが介入してくるとなれば、PCグラフィックスは、かなり面白い展開が期待できそうだ。


□3Dlabsのホームページ(英文)
http://www.3dlabs.com/
□関連記事
【3月12日】Creative、3Dlabsを買収 買収総額は約1億370万ドル
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0312/creative.htm
【3月22日】【GDC】DirectX 9対応のビデオカード第一弾はMATROXから?
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0322/dx9.htm

(2002年3月27日)

[Reported by トライゼット 西川善司]


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