Macworld Tokyo 2002展示会場レポート2
~Mac OS X対応のアプリケーションデモに人気が集まる

会期:3月21日~23日

会場:東京ビッグサイト(東2、3ホール)
入場料:2,500円
     (12歳以下無料)




●思いのほかゆったりと展示を見られるアップルコンピュータ

San FranciscoでのMacworldとほぼ同様のブースレイアウトを行なったアップルコンピュータのブース。テーブルにはiMacがずらりと並び、iPhoto、iMovie、iTunesなどの体験ができる
 当然のごとく、来場者の第一のお目当てはアップルコンピュータのブースである。今回も展示会場の4分の1ほどもあろうかという巨大なブースを構えた。ブースのレイアウトは、1月に開催されたSan FranciscoでのMacworldとよく似た感じで、中央にシアター形式のプレゼンテーションステージ。周囲3面に、iMacを使ってiPhoto、iTunes、iMovieというそれぞれのiアプリケーションが試せるデモエリアを配置している。

 今回はMac本体の新製品発表がなかったため、ブース内の混雑はそれほど激しいわけではない。意外にゆったりとiMacやiアプリケーションを試したり、スタッフに疑問点を訊ねたりすることができる。

 昨日の基調講演でアナウンスされた10GB版iPodは、iTunesのデモエリアにずらりと並んでいてiTunesと一緒に試用することができる。もちろん音楽再生ばかりでなく、アドレス帳の機能を確認することも可能だ。またHigh Definitionのシネマディスプレイ「Apple Cinema HD Display」も2台展示されており、こちらも接続されているPowerMac G4を操作して、自由にその高精細な表示を確認することができた。

 また、注目のBluetoothに関するデモもブースの一角を使って行なわれている。ここで昨日の基調講演レポートでお伝えした内容を一部訂正する。基調講演でスティーブ・ジョブズCEOは、Bluetooth対応ソフトウェアのベータ版が当日からダウンロードできるとコメントしたが、実際はBluetoothアダプタのAppleStoreでの発売にあわせた5月(米国では4月)頃になるという。なおアップルコンピュータが発表したリリース文にはその旨が明記されている。

 ブース内でのデモは基調講演と同様に、CLIEとPalm端末を使ったHotSyncの実演と、NTTドコモのPHS端末633Sを使ったインターネットアクセスが行なわれている。CLIEに使われているBluetoothアダプタは1.0準拠の古いタイプだが、特に問題なく動作しているようだ。Palm端末を使ったデモでは、先日のPalm Sourceで公開された東芝製のSDメモリ型のBluetooshカードが使われている。

 担当者に尋ねると、来場者の質問で多いのはデモに使われている633S以外の携帯やPHS端末での動作状況だという。特にauのソニー製端末を手にしているユーザーが多いとは担当者の弁。今のところ、CCLファイルが存在し動作の確認が取れているのはNTTドコモの633Sのみだが、β版にあたる「Technology Preview 1」の配布開始時期までに他機種への対応が進むかどうかは未定とのことだ。ソフトウェアは、このTechnology Preview 1を経て、Mac OS Xの次期アップグレードでOSに統合されることになる。

 USBタイプのBluetoothアダプタについては、サードパーティの製品のためアップルロゴなどは付かない見込み。形状はまだ若干の変更がありうるという。写真で見る限りかなり小さく見えるが、これでも大きいと感じる来場者がいることに、 説明を担当するスタッフは驚いていた。

日本国内では5月早々にAppleStoreから6,000円で販売されるUSB接続タイプのBlutoothアダプタ。基調講演のスライドで映し出された製品は外装にかなりの透明度を感じたが、実物はそれほどでもない 14インチ版のiBookのUSBポートに取り付けた状態。デモのためPHS端末とかなり接近させているが、実用上はもっと離しても問題ない。例えばPHS端末をポケットに入れたままでも使えるはずだ キーボードのUSBハブに取り付けるとこんな感じになる。こうして見ると、白を基調にしたカラーのBluetoothアダプタが欲しくなる。デモに使われているCLIEのBlutoothアダプタは 1.0準拠の古いタイプだが、特に問題なく動作していた
β版にあたる「Technology Preview 1」をインストールすることで、Mac OS Xに追加されるBluetoothの設定パネル 「Apple Cinema HD Display」は2台がブース内に展示されていた。横のPowerMac G4を操作して、自由にその解像度を確かめることができる iTunesのデモエリアにずらりと並んでいる10GB版のiPod。アドレス帳を操作することもできる。既存のiPodユーザーには、ソフトウェアのアップグレードで対応

●ソフト関連の展示は充実。デジカメやプリンタの不在は不満要素

 出展規模や出展社数からみれば、やや寂しいというイメージはぬぐいきれないが、アップル以外の展示ブースもなかなかの盛り上がりを見せている。どちらかと言えば周辺機器よりも、アドビやAlias|Waveforntなど、Mac OS Xに対応するアプリケーションを出展するソフトハウスに来場者の注目が集まっていた。Mac向けユーティリティの「Nortonシリーズ」のMac OS X対応版を開催直前にアナウンスしたシマンテックや、Office V.Xのマイクロソフトなどが活発な出展を行なっており、いわゆる定番というべきアプリケーションがようやく出揃ったことは、Mac OS Xにとって明るい材料だ。

 いっぽうで気になるのは、数年前まではMacworldにおけるもう一方の主役であったイメージング関連製品の出展がまったくなくなってしまったことだ。デジタルカメラでは昨年唯一の出展社だったサンヨーも撤退。プリンタはエプソン、富士ゼロックス、ヒューレットパッカードなどが展示会場から姿を消した。今年、プリンタを展示しているのは、事実上、沖電気ただ一社である。

 アップルの唱えるDigital Hubという構想では、デジタルカメラ、デジタルビデオ、ミュージックプレイヤーなどは必要不可欠な周辺機器であるはず。プリンタもまた然りであろう。にもかかわらず、Macworldにデジタルカメラやプリンタの出展されていないのはどこか違ってはいないだろうか……。Macworldの主催者はIDGだが、アップルコンピュータもまたホストとしての役割があるはず。もちろん、出展するしないはあくまで出展社側の都合によるものだが、それを惹きつけるための努力がアップルコンピュータサイドにまだまだ必要と考えざるを得ない。Degital Hubの成功は、iアプリケーションを揃えることだけではなく、そうした周辺機器メーカーと歩調をあわせてソリューションを展開していくことこそ重要と思われるのだが……。

 なお、これから来場する人のための情報だが、同じ東京ビッグサイトの西ホールでは22日から24日まで「フォトエキスポ2002」が開催されている。ここでは、各種デジタルカメラも多数出展されているほか、プリンタと組み合わせたソリューションも見ることもできる。フォトエキスポ2002の会場には無料で入場できるので、Macworldで見れないイメージング製品はここで確認することができる。

 ほか、Macworldの会場内で見つけた製品などは写真を中心に紹介する。ちなみに、主催者のIDGの発表によれば、初日にあたる21日(祝)の総来場者数は53,766人とのこと。

ピクセラが参考出展したビデオキャプチャボード「Capty for PCI」。リアルタイムハードエンコーダーとTVチューナを搭載するMPEG1/2のキャプチャボードだ。Windows向けにはすでに同等の製品が出荷されているが、Mac向けに7~8月頃の出荷を目指して開発を行なっているとのこと ケンジントンテクノロジーが参考出展したマウス。PhotoshopやIllustratorなどがより快適に使えるようにデザインされたもので、真ん中のボタンやパッド部分で、手のひらツールやズームツールを自在に操ることができる。マウス本体の形状などはまったく未定で、機能のみのデモを行なっているとのこと Mac向けのちょっとひねった周辺機器といえばグリフィンテクノロジー。フォーカルポイントコンピューターのブースで参考展示しているこの製品は、iPodに取り付けるユニバーサル赤外線リモコン。なんとヘッドホン端子に取り付けている。赤外線信号はiPodに音声データとして保存され、音楽再生と同じ手順で操作すると音声データを赤外線信号へ変換して発信する仕組みらしい。デモでは、ポータブルタイプのDVDプレーヤーをコントロールして見せた
PowerMac向けの後付SuperDrive。光学式ドライブを置き換える内蔵型とFireWire接続の外付型の出荷を検討しているという。問題はiDVD2が、SuperDrive搭載モデルのみに提供されていることだが、それはピクセラやロキシオが出荷を予定しているDVDライティングソフトのバンドルなどで解決を考えているという。TAXANブランドの加賀電子による参考出展 こちらも加賀電子の出展。アップルコンピュータによるアップグレードではコンボドライブに変更できない初期型PowerBook G4にも対応するスロットインタイプのコンボドライブ。これはすでに製品化されている アスクの展示したFireWireリピーターハブ「DINO HUB」。背中(背びれ?)の部分に、FireWireのポートが並んでいる。動作はするが、まったくの冗談企画で、製品化の予定はないとのこと
ステージでのプレゼンテーションにおける集客力ではナンバーワンのアドビシステムズ。Mac OS X向けのアプリケーションを出展するブースはどこも活気がある こちらはマイクロソフト。今回、アップルはポスターを配ってはいないが、実はこのマイクロソフトがOffice v.Xのイメージポスターを配っている ユーザーグループ展示の一角に、学研が持ち込んだ復刻版電子ブロック。インターネット予約では人気沸騰の製品で認知度も高いが、一般向けに実物を公開するのははじめてという。4月27日に発売されるが、初期ロット3,000個はすでに完売状態とのこと

□Macworld Conference & Expo/Tokyo 2002のホームページ
http://www.idg.co.jp/expo/mw/
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Bluetooth普及の先駆けはAppleが担うとジョブズCEOが断言
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0321/macw2.htm
【3月21日】Macworld Tokyo 2002展示会場レポート
活発な周辺機器メーカーやユーザーグループブース
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0321/macw1.htm

(2002年3月22日)

[Reported by 矢作 晃(akira@yahagi.net)]


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