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2月24~27日(現地時間)開催
もっとも、COMDEX/FALLなどに比べると、その何分の1かの規模ではある。だが、世界中の名だたる大手カメラ/フィルムメーカーが大型ブースを連ねる一方、名も知らぬ個人経営のようなメーカーが机1つで製品のアピールを行なうなど、なかなか幅広い内容を網羅した、写真機材ショーといえる。
そのなかでも、ここ数年で大きく変貌したのが、デジタルイメージング関連分野だ。大手メーカーのブースでは、デジタルカメラやプリンターなどの新製品を全面にアピール。さらに今回はアドビシステムズが「Photoshop 7.0」の発表の舞台として、このPMAを選んだことでもわかるように、もはや“デジタルイメージングショー”といっても過言ではないほど、デジタル一色という感じだ。
さて今回は、このPMAで発表された各社の新製品を中心に、その最新情報をお届けしよう。
●ライカ、オリジナルデザインの400万画素3倍ズーム機「DIGILUX 1」
このモデルは、松下電器との協業で昨年発売された「松下電器 DMC-LC5」をベースに、ライカが開発したもの。基本的な操作部は「LC5」を踏襲しているが、外観はライカがデザインしたものだという。
同社はこれまでも、パーソナル向けデジタルカメラを発売してきたが、今回の「DIGILUX 1」というネーミングには特別な意味があるという。つまり、これまでの同社のデジタルカメラに対して1度リセットし、本機から本格的に取り組んでゆくといった意味での“1”だという。
外観デザインは、いわゆるレンジファインダー式の「Mライカ」のイメージとは大きく異なった斬新なもの。これは同社のコンパクトカメラの流れを汲むデザインであり、オールドファンにはやや違和感があるかもしれない。むしろ、デザイン的には「松下電器 DMC-LC5」のほうが“ライカっぽい”感じもあるほどだ。
だが、実機を触ってみると、なかなか高級感があり、どことなく“ライカ”っぽさが感じられるから不思議だ。
松下版との違いは、付属のSDメモリーカードが64MBになっている点と、アダプタの併用で同社の望遠鏡(スポーティングスコープ)に装着しての超望遠撮影ができる点といえる。
米国での価格は899ドル。日本国内では5月発売で価格は未定という。
同機は絞り優先AE機能を搭載した初のM型ライカであり、「M6」登場以来、18年ぶりにモデルのフルチェンジという。さらに、先代の「M6」も並行して販売されるという。デジタルカメラの場合、1年以上市場に留まっているだけで“ロングセラー”と呼ばれることを考えると、まさに隔世の感がある。
●米コニカ、メモリースティック/SDメモリーカード両対応の超小型400万画素3倍ズーム機「Digital Revio KD-400Z」
コニカはこれまでデジタルカメラの分野では、ややおとなしい展開をしており、今後の展開が見えない状態にあったが、今回の新製品はそのイメージを払拭するのに十分なインパクトを備えたものに仕上がっている。
写真ではスケール感がわかりにくいかもしれないが、とにかく、驚くほどコンパクトで薄型に仕上がっており、到底400万画素3倍ズーム機とは思えないレベル。しかも、金属外装を採用しており、なかなか高級感のある仕上がりとなっている。
さらに、レンズバリアを開けてメインスイッチをONにすると、ほとんど瞬時といえるほど素早く、沈胴式レンズが繰り出され、撮影できる状態になる点にも感心する。起動の早い3倍ズーム機では「キヤノン PowerShot S40」があるが、本機に比べると、その「S40」でさえ遅く感じるほどだ。また、撮影間隔も短く、ストレスを感じることはなかった。
2種類のメディアをサポートすることについては、議論があるかもしれないが、同社は今回のPMAで「Get Connected」というキャッチフレーズで、さまざまな機器とのネットワーク化を全面に打ち出している。この両対応についても、「現行のPDAに採用されている両方のメディアに直接対応したかったため」と説明。実際に、このサイズのボディに、両方のメディアがきれいに収まっているところを見ると、何らマイナス面はないばかりか、「よくやったなあ」と素直に感心してしまう。
また、日本最古のカメラメーカーらしく、カメラとしての基本機能もきちんと押さえられており、シンプルな操作性はもちろん、光学ファインダーの見え味が実に良好で、明るくクリアで大きく見える点にも好感が持てた。
展示機はまだβ版レベルのものであり、その画質については未知数だが、国内での発売が大いに期待されるニューモデルといえる。
●米 旭光学、簡易3D撮影も楽しめる200万画素ズーム機とデジタルカメラ内蔵双眼鏡を出展
旭光学は、簡単な操作と付属ビューワで3D撮影を楽しめる、200万画素3倍ズーム機「Optio230」を出品した。
正直なところ、ボディ自体は液晶回転部以外、あまり大きな特徴はない。サイズは大きくもなく、小さくもなくという感じだ。CCDは1/2.7インチの200万画素タイプで、レンズも5.8~17.8mmの光学3倍ズーム(35mmカメラ換算で38~114mm相当)とオーソドックスなスペックだ。
だが、本機にはユニークな機能がある。それが新搭載された「3D撮影機能」だ。3Dといっても、それほど凝ったものではない。まず、3Dモードにセットし、縦位置で1枚撮影。その後、撮影者がカメラを手動で適度に移動させて、もう1枚撮影するもの。そのときに、前に撮影した画像が薄く、液晶上に表示される機能があるので、それを目安にフレーミングすればいいわけだ。
こうして撮影された画像は、自動的に1枚の画像データの左右にレイアウトされ、1つのJPEGファイルとして記録される。あとは、それをプリントして、付属のルーペ付きの3Dビューワで覗き込むだけで、簡易3Dが楽しめるというもの。
単純でアナログ的な手法であり、撮影も簡単だが、実際に見てみると、かなり本格的な3D写真として楽しめる。機能やサイズ一点張りの新機種とはひと味違ったアプローチとして、なかなか新鮮なモデルに感じられた。国内での発売は未定だが、従来機とはひと味違ったモデルとして注目される。
また同社は、純粋なデジタルカメラではないが、とてもユニークな製品を発表していた。
もちろん、1.6インチ液晶モニタも搭載しており、ビデオ出力機能もあることから、望遠デジタルカメラとしても楽しめる。画像サイズ1,024×768ピクセルで、感度はカメラブレを軽減するため、ISO100~1,600まで自動的に切り替わるという。データ保存は16MBの内蔵メモリで行ない、USB接続によりPCへのデータ転送も可能だ。
電源は単3型2本か、CR-V3 1本で駆動できるが、デジタルカメラ機能を搭載したぶん、サイズは127×69×44mmと、このクラスの双眼鏡としてはやや大きめなものに仕上がっている。
バードウオッチングなどの自然観察はもちろん、スポーツ競技などを手軽に撮影したい人にとっては、魅力的なアイテムになりそうだ。
□2002 PMAのホームページ
http://pma2002.pmai.org/
(2002年2月27日)
[Reported by 山田久美夫]