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2月24~27日(現地時間)開催
米国最大の写真機材ショーである「2002 PMA」が、米国時間24日からフロリダ州オーランドで開催される。
このイベントは、毎年2月に開催されるもので、世界各国のカメラ/フィルムメーカーや周辺機器メーカーが一堂に集うショーだ。また、デジタルカメラの世界で、米国はいまや世界最大市場に成長しており、この不況のなかでもなんとかプラス成長を続ける分野だけに、各社ともこのイベントにかける意気込みはかなりなもの。
実際に今月に入って、各社から意欲的なデジタルカメラが続々と発表しているが、これらはすべて、このPMAをターゲットにしたものといえる。
さて、このPMAの前夜祭といえるプレス向けのプレイベント「DIGITAL FOCUS」が昨夜開催された。そこで今回は、PMAショー開催より一足先に見ることができた新製品についてレポートしよう。
●コダック、399ドルの400万画素ズーム機を発表
米国のデジタルカメラ市場できわめて高いシェアを誇るコダック。米国では、昨年発売した、クレードルタイプのドッキングステーション対応の「Easy Share」シリーズが、その使い勝手の良さが評価され、人気を呼んでいる。
そして今回、その最上位機種となる、400万画素光学2倍ズーム機「DX4900」が発表された。
DX4900 |
このモデルは現在発売中の「DX3900」のボディーをベースに、1/1.8型の400万画素CCDを搭載したものだが、その最大の注目点は価格。米国でのプライスは399ドルと、400万画素ズーム機でもっとも手頃なレベルとなっている点だ(ドッキングステーションは別売)。
実際に、1ドル約135円で計算しても54,000円前後と、日本国内の400万画素3倍ズームよりさらに1万円近く安いわけで、これなら400万画素がより身近な存在になる可能性が大きい。
とくにコダックはデジタルカメラからのプリントアウトに力を入れており、米国では家族の写真を大きくプリントして飾るという文化があるため、そのあたりを睨んだ対応といえそうだ。
機能面は、基本的に「DX3900」と同等。写真で見るよりも、現物はコンパクトで意外に薄く仕上がっており、同社のモデルのなかでは携帯性も良好だ。ズームは光学2倍だが、高画素を生かして、3倍のデジタルズーム機能を併用し、実質的な倍率を稼ごうという考えのようだ。
会場での実写プリントを見る限り、画質は良好。いかにもコダックらしい、明快で見栄えのする色再現性を実現しているようだ。日本国内での展開は未定だが、国内でもぜひ、インパクトのある価格で登場することを期待したい。
●東芝、着せ替え型200万画素機や超小型300万画素ズーム機、Canonレンズ搭載300万画素機などを出展
東芝は、PMA直前に国内でも正式発表された、前カバー交換による着せ替え可能な200万画素単焦点モデル「“sora T10” PDR-T10」を、多数の「着せ替えフェースパッド(前カバー)」とともに展示していた。
東芝の展示 | 「sora T10」と着せ替えカバー |
実際にカバーを変えてみると、同じスタイリングのカメラでも、全く違った印象になり、なかなか楽しめそうなアイデアだ。カメラとしては1/2.7型の200万画素CCDを搭載した単焦点モデルという、比較的シンプルなものだが、ファッショナブルにデジタルカメラを楽しみたい人にとっては、多機能化よりもよほどインパクトのある方向性だろう。実際にどのように受け入れられるのか、大いに楽しみだ。ちなみに米国での価格設定は299ドルと、200万画素単焦点機としては若干高めの設定となっていた。
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また、国内未発表の製品としては、320万画素CCDを搭載した超小型の光学3倍ズーム機「PDR-3310」と、2.8倍ズーム搭載のスタンダードモデル「PDR-3300」を公開。
PDR-3310 |
「PDR-3310」は、300万画素3倍ズーム機のなかでも、最小最軽量クラスの携帯性のいいモデルだ。金属外装で質感もなかなか良好なもの。また、ボディーの小型化と、欧米で問題になることの多い赤目現象を軽減するため、ストロボはメインスイッチONで自動的にポップアップする方式を採用している。
CCDは1/1.8型の320万画素タイプ。レンズは35~105mm相当の光学3倍ズームを搭載。また、先のT10もそうだが、今後新登場する同社製品の記録媒体は、SDメモリーカードとなるという。
もっとも本機は、外観写真やスペックが、先だって発表されたばかりの「京セラ/Finecam S3x」に酷似しており、事実上の姉妹機といえそう。米国での発売時期は6月を予定しているという。
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PDR-3300 |
「PDR-3300」は、320万画素CCDを採用した、キヤノン製2.8倍ズームレンズ搭載機。一見、420万画素タイプの「PDR-M81」の300万画素版のように見えるが、上面や背面の操作部が異なった別モデルといえる。
このモデルは、どちらかというと、コストパフォーマンス優先のスタンダードモデルといった印象で、サイズは「PDR-3310」に比べて結構大きめだ。
外装はプラスチック素材だが、ブラックボディーのため、なかなか締まった印象を受けるモデルに仕上がっている。なお、本機は今年7月の米国発売を予定しているという。
●アドビシステムズ、多彩な新機能を搭載した「Photoshop 7.0」を公開
Photoshop 7.0 |
アドビシステムズは、今回のPMAにあわせて、Photoshopの次期バージョンである「Photoshop 7.0」を正式にリリースした。
会場ではすでにデモが行なわれており、かなりいろいろな新機能が搭載されていた。なかでも、きわめて多機能でファイル管理がとても容易になったブラウズ機能と、コピー元のテクスチャー情報だけを利用し、コピー先の色調での描画を実現したブラシ機能が大きな変更点となっており、デモもメインとなっていた。
前者は、すでに、「Photoshop Elements」で新搭載されていた画像一覧機能を、大幅に高機能にしたもので、今回からデジタルカメラのExif情報にも正式対応した。主な機能としては、サムネールサイズの変更はもちろん、各種Exif情報の閲覧、リネームや画像セレクト時のランク(優先順位)なども記載でき、画像データとともに一括管理できるようになった。
画像管理機能を搭載 |
この画像管理は、これまでの歴代Photoshopがもっとも苦手としていた部分であり、ついにその点への本格的な対応がなされたわけだ。
また、後者のブラシ機能は、これまでの単純なコピーだけではなく、コピー元のテクスチャー情報を利用し、コピー先の下絵になる部分の色情報を、そのテクスチャーに適用したコピーがなされるようになっている。言葉で説明するとやや分かりにくいが、実際に使ってみると、きわめて便利な機能といえそうだ。
この新バージョン、英語版は同社サイトですでに先行予約が開始されているが、日本語版などについてはまだ未定という。
本日から開催される「2002 PMA」ではさらに多くの新製品が登場する可能性が高いため、それらについても追ってレポートしたい。
□2002 PMAのホームページ
http://pma2002.pmai.org/
(2002年2月25日)
[Reported by 山田久美夫]