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SpringdaleはAGP 8X/Serial ATA/Gb EthernetプラスDDR333?


●まだ謎が多いSpringdale

 Intelは2月25日(現地時間)から開催する開発者向けカンファレンス「Intel Developer Forum(IDF)」で、次世代チップセットについても何らかの発表をすると見られている。そこで、IDF前に、現在わかっているIntelのチップセット計画と、何がIDFのポイントになるかについてまとめてみた。

 まず、2003年の前半に登場する「Springdale(スプリングデール)」。Springdaleはメインストリームデスクトップ向けで、Brookdale同様にグラフィックス統合版(Springdale-G)がある。SpringdaleについてOEMからの情報で明確になっているのは次の通り。

・Pentium 4と次世代CPU「Prescott(プレスコット)」をサポート
・AGP 8X
・ICH5
・Serial ATA
・Gb Ethernet

 一方、不確かな情報は次の通り。

・デュアルDDRまたはDDR333?
・DDR IIも将来サポート?
・ワイヤレスLAN?

 まず、SpringdaleがPrescottとペアになるチップセットであることについては、多くのソースから情報が入っているため間違いがない。ただし、SpringdaleはPentium 4もサポートする。このことは、Pentium 4とPrescottのバスアーキテクチャが同じである可能性を示している。

 AGP 8Xも不思議はない。グラフィックスは今年後半からAGP 8Xへの移行を始めるからだ。Intelも、ワークステーション用の「Granite Bay(グラナイトベイ)」チップセットでは、今秋にAGP 8Xをサポートする。Serial ATAについても、Intelは以前から2003年のチップセットに入ると説明していた。実際は、これはICH5の機能になるはずだ。

 比較的新しい情報は、Gb Ethernetのサポートだ。じつは、ICH5世代のチップセットは、2チップではなく、LANを含んだ3チップ構成になると、以前から言われていた。ただし、昨年秋の段階ではワイヤレスLANが加わると言われていた。要は、3チップ目に何を組み合わせるかの話だ。このあたりは、IDFで情報が出てくる可能性がある。


●くるくる変わるSpringdaleのメモリ

 Springdaleのスペックでもっとも揺れているのはメモリインターフェイスだ。そもそも、いちばんオリジナルの計画では、SpringdaleはIntelとトップDRAMベンダーで結成するメモリ規格策定団体「ADT(Advanced DRAM Technology)」のメモリをサポートするはずだった。ところが、RDRAMの失敗で懲りたIntelが路線を変更したことから、Springdaleのメモリは二転三転することになる。

 PC業界のOEMメーカーがSpringdaleのメモリについて情報を得始めたのは昨年の秋口頃だ。9月頃には、Intelは、いくつかの台湾OEMに対してSpringdaleがデュアルDDRメモリになると説明をしている。そして、11月頃になると多くのOEMが、IntelからSpringdaleがデュアルメモリチャネルになるというロードマップを見せられたと言っていた。

 ところが、その同じ頃、IntelはDRAM業界に対して、SpringdaleでDDR IIをサポートすると話をしている。これも、DRAM業界では広く知られた話で、多くの人が知っていた。DDR IIの場合は、メモリ帯域から考えてデュアルチャネルは必要がない。つまり、デュアルチャネルではFSBの帯域を大きく超えてしまい、意味をなさないため、当然シングルチャネルでのサポート計画だったと思われる。

 そうすると、この時点でSpringdaleに関しては、DRAM業界への情報と、PC業界への情報が、完全に乖離していたことがわかる。そして、今年になると、今度はDDR IIは2004年に延期されてしまう。その結果、SpringdaleはDDRで立ち上げることになったと見られている。現在、複数のソースがSpringdaleはDDR333だと伝えているが、今のところ確証はない。おそらく、IDFの週でこの部分はクリアになるに違いない。

 ちなみに、DDR333サポートの場合も、やはりデュアルメモリインターフェイスは遠のく。というのは、DDR333シングルチャネルのメモリ帯域は2.7GB/secで、デュアルチャネルになった場合5.3GB/secと、Pentium 4の533MHz FSBの帯域4.3GB/secを上回ってしまうからだ。ただし、統合グラフィックスコアを活かす場合にはデュアルチャネルもありかもしれない。もっとも、グラフィックスを持たないデュアルメモリチャネルチップセットGranite BayもDDR333をサポートするという情報が入っている。

 いずれにせよ、来年前半の登場というスケジュールを考えると、Springdaleはすでに開発がかなり進んでいないとおかしい。そのため、Springdaleが内部機能として、DDR IIとデュアルチャネルをサポートしている可能性は高い。つまり、製品として出すフェイズで、そのうちどの機能を活かすかが違うだけだと思われる。

 このほか、Intelは、昨年夏までは2003年のチップセットで3GIOをサポートするとOEMに説明していたが、これも予想通り消えた。少なくとも3GIOのスロットなどはSpringdaleではサポートされない。


●5月が次のチップセットラッシュ

 もっと近場の2002年チップセットは5月がラッシュになる。まず、RDRAMベースの次世代チップセット「Intel 850E(Tehama-E:テハマE)」が登場、続いて5月下旬に「Intel 845E(Brookdale-E:ブルックデールE)」、「Intel 845G(Brookdale-G)」、「Intel 845GL(Brookdale-GL)」が同時に登場する見込みだ。845GLは、Pentium 4アーキテクチャベースのCeleron向けとなる。

 これらのIntelの新チップセットを機能面で比較すると下のようになる。

850E845E845(DDR)845G845GL
FSB400/533MHz400/533MHz400MHz400/533MHz400MHz
SDRAM--××PC133PC133
DDR--DDR200/266DDR200/266DDR200/266DDR200/266
RDRAMPC600/800--------
最大メモリ2GB2GB2GB2GB2GB
内蔵Graphics×××
AGPポート4X4X4X4X×
パッケージOLGAFCBGAFCBGAFCBGAFCBGA
ピン数615593593760760
ICH ICH3ICH4ICH3ICH4ICH4
USB 2.0××
パッケージEBGAMBGAEBGAMBGAMBGA
ピン数360421360421421



 RDRAM系の850Eは、850の533MHz FSB対応版だが、ICH3のままでUSB 2.0のサポートはない。また、850EのメモリはこのほかPC1066もサポートすると言われているが、5月の登場時点からサポートされるのかはわからない。845GLは、Celeronが400MHz FSBオンリとなるため、533MHz FSBサポートはない。また、外付けグラフィックスも非サポートにして差別化している。

 これらの新チップセットは、すでにOEMからかなり情報が流れている。そのため、今回のIDFで、公式に詳細がどこまで明らかにされるかがポイントになる。

 845Gと845GLについては、グラフィックス性能が1つのポイントだ。IntelはOEMに対して、845Gのグラフィックスは815の4~6倍、845GLは2~3倍と説明しているという。しかし、845Gのグラフィックスについては、多くのOEMが「Intelの言う性能と、実際に評価した性能にかなり差がある」と言っている。

 グラフィックスで815との最大の違いは32bitカラーのサポートで、3D時に32bitカラー/24bitZバッファが可能となった。また、シングルパスで4テクスチャまでのマッピングも可能になり、これまでサポートしていなかったキューブリフレクションマッピングや、DOT3バンプマッピングなども加わった。2Dに関しては、内部エンジンが64bitから256bitに拡張され、32bitカラーも可能になった。また、DACは230MHzから350MHzになり、最大解像度は1,280×1,024ドットから2,048×1,536ドットになるという。

 ICH4のフィーチャの目玉は言うまでもなくUSB 2.0だ。USB 2.0は、じつはICH3系にもインプリメントされているが、イネーブルにされていない。ICH4で初めてサポートされる。また、ICH4でのUSB 2.0サポートは、第1ステップとも言うべきものだ。あるOEMによると、ICH4はUSB 2.0のホストコントローラを1個しか持っていないという。残りの3つのホストコントローラは、いずれもUSB 1.1だ。これは、当面、USB 2.0周辺機器が限られると判断したインプリメンテーションだと思われる。

 チップセット価格は、相変わらずかなり強気だ。例えば、845Eは845より3ドル高い41ドルで登場、845Gはさらに5ドル高い46ドルで登場するという。つまり、USB 2.0代が3ドルで、グラフィックス代が5ドルという計算だ。この程度の差だと、どうみても845は消えてゆくことになるだろう。ちなみに、845GLは35ドルとぐっと安いが、20ドル台が当たり前のバリュー向けチップセットとしてはかなりな値段だ。一方、850Eは40ドルで、基本的に845Eと同ランクの価格設定になっている。


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(2002年2月25日)

[Reported by 後藤 弘茂]


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