2002 International CESレポート

カシオ/日立らが、Windows CE .NET対応PDAやウェアラブルPCを展示
~モバイルPentium 4搭載ノートを3社が展示

カシオのWindows CE .NETを搭載したPDA

会期:1月7日~11日(現地時間)
会場:Las Vegas Convention Center
   Las Vegas Hilton
   Riviera Hotel
   Alexis Park Hotel


 2002 International CESは、本日1月8日(現地時間)より展示会が開始された。CES(Consumer Electronics Show)の言葉通り、デジタルビデオレコーダやDVDプレイヤーなどの家電が主な展示物となっているが、PCに関連した製品もいくつかのブースで展示されている。そうした中から特にモバイル関連を拾ってお届けしていきたい。



●カシオがWindows CE .NETに対応した動作可能なサンプルを展示

 昨日、Microsoftのビル・ゲイツ会長兼CSAの基調講演において発表されたWindows CE.NETだが、早速会場ではWindows CE.NETを利用したPDAが展示されていた。

 展示していたのはカシオで、Windows CE 3.0 エンベデッド版を利用したPDA「BE300」のケースを利用したWindows CE.NETベースの携帯情報端末。コントロールパネルにあるシステムのプロパティで確認したところ“Windows CE .NET Version 4.0(Build 708)”と表示された。他社では「Windows CE .NET Powering the Next Generation of Smart Mobile Devices」という表示がされているのに、プロパティでOSのバージョンを確認すると「Version 3.0」と表示され、実はWindows CE 3.0ベースだったり、そもそも起動しない状態で展示されていたのに対して、カシオのBE-300ベースの展示機はちゃんとWindows CE .NETがインストールされており、実際にユーザーがふれて確認することができる。

 従来型のWindows CE 3.0ベースの端末も一緒に展示されているため、実際に3.0と(バージョン表記でわかるようにバージョン4.0相当となる)Windows CE .NETをさわり比べることができる。実際に、筆者もさわってみたが、特に動作が重かったり、軽かったりということはなく、あまり体感速度には変化がないように感じた。

 Windows Media Playerの最新版と思われるバージョンがプレインストールされていたほか、Internet Explorerなどがインストールされており、コンパクトフラッシュスロットに挿さっているIEEE 802.11b対応の無線LANカードでインターネットにアクセスするデモが行なわれていた。

正面から見たところ。上部に用意されているコンパクトフラッシュスロットには無線LANカードが挿さっている システムのプロパティでは“Windows CE .NET Version 4.0(Build 708)”と表示される メモリは合計で8MBを搭載。これは現在販売されているBE-300と同様

●日立製作所はMicrosoftブースにWindows CE .NET搭載携帯端末を展示

 昨日、日本でもWindows CE .NETベースPDAの開発意向表明を行なった( http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/0,1608,7668,00.html )日立製作所は、Microsoftのブースにおいて、そのPDAのプロトタイプを展示した。製品の説明などは一切無く「Wireless PDA」とだけ書いてある。日立製作所の米国法人である米国日立の広報担当者によれば、「本製品はWindows CE .NETを搭載し、IEEE 802.11bによるワイヤレスLANの機能を持つ以外の細かな仕様はまだ策定している段階。本製品は主に企業の特定用途向けが最初のターゲットとなり、後にコンシューマ用途にも進出していきたい」と述べた。このため、企業向けに開発環境なども提供されていくようで、ワイヤレスLANを利用してサーバーにデータを蓄積していくような、例えばコンビニエンスストアの店員が在庫チェックに利用する、などの用途に使われていくということだろう。ただし、需要があればコンシューマ向けにしていく計画もないわけではないということなので、期待したい。

 このほか、Microsoftブースには、Windows CE .NET対応をうたった携帯情報端末などが多数展示されていた。

日立製作所のWindows CE .NETベースの携帯情報端末。これはプロトタイプで、電源は入っていなかったため、実際に動作するかは不明 ImpactraのCynci & Motioniはゲイツ氏の基調講演でも利用されたポータブルMPEG-4プレイヤー。やはりWindows CE .NET対応 Windows CE .NETに対応した独シーメンスのSIMpadSL4。詳細は不明

モトローラのSpyder。やはりWindows CE .NET対応だが、詳細は不明 ICEBOXの“Home Entertainment Center”は埋め込み型のWindows CE .NETマシン。台所に埋め込んだりして利用するという

●韓国市場向けとなるCDMA携帯電話内蔵のSamsung「NEXIO」

 本日の朝には、韓国Samsungのダジェ・シエン社長兼CEOによる基調講演が行なわれたが、その中でも紹介されたWindows CE 3.0 エンベデッドを採用したSamsungのNEXIOがSamsungブースに展示されていた。

 NEXIOはすでに韓国で発売されている携帯情報端末で、これから発売される米国での価格は850ドル(日本円で11万円程度)。最も大きな特徴は5インチの800×480ドット/65,536色という、携帯情報端末としては高解像度を採用していることだろう。

 Pocket PCでは解像度が固定されてしまうのだが、Windows 3.0 エンベデッドではそうした制限がないため、解像度はメーカーが自由に設定できるのだ。実際に、Webなどを見ていても横が800ドットあるため、PC並とまではいかないものの、かなり広く見える印象だ。CPUはStrongARM 206MHzで、メモリは64MBのSDRAMと32MBのフラッシュROM、バッテリーはリチャージャブルなリチウムイオン電池、インターフェースとしてUSB×2、VGAアウトなどが用意されており、このUSBポートの1つにオプションで用意されているIEEE 802.11b準拠の無線LANモジュールを接続して利用することができる。

 なお、本製品にはCDMA2000 1x相当の携帯電話機能が内蔵されており、本体にビルトインされているマイク/スピーカーないしは、イヤフォンマイクを接続して音声通話が出来るほか、データ通信も可能になっている(通信速度は不明)。

 アプリケーションとしてはWindows CE 3.0に標準搭載されているPocket Wordなどの他、PIM、MP3再生、イメージビューアソフトなどがバンドルされており、これだけでも十分使いこなせる印象だ。贅沢を言えば、コンパクトフラッシュなどのストレージカードのスロットがほしいところだが、その代わりにUSBポートが用意されているわけで致し方ないところだろう。

 結構優れものなNEXIOだが、残念ながら日本で販売される予定は今のところないという。大型のディスプレイを搭載し、ペンで軽快にWebサーフィンができるNEXIOは日本でも十分需要だがあると思うのだが(値段はやや高めなので、もう少し下げる必要はあるが)。なお、次世代機では、Windows CE .NETを搭載する予定もあるということだ。

SamsungのNEXIO。PDAにしては液晶の解像度が高いのが特徴。Webサイトも解像度の低いPocket PCに比べて快適に閲覧できる。右上に見えるのはCDMAのアンテナ システムのプロパティではWindows CE Version 3.0と表示 オリジナルのMP3プレイヤーを搭載

●Xybernautがコンシューマ向け1,499ドルのウェアラブルPCを発売、日本では日立製作所が発売

 ウェアラブルPCのメーカーとして有名になったXybernautは、日立製作所からのOEM供給をうけてウェアラブルPC“poma”を発表し、第1四半期の終わり頃に出荷を開始することを明らかにした。

 pomaは「PersOnal Multimedia Assitant」の略でそうで、驚くなかれVGAのヘッドマウントディスプレイ(HMD)を搭載して価格は1,499ドル(日本円で20万円弱)であるという。実はこのpomaは昨年のCESで、ビル・ゲイツ氏が基調講演でデモを行なった、日立製作所と島津製作所によるウェアラブルPCを製品化したものだ。本体は日立製作所が担当し、HMDを島津製作所が担当しているという。

 pomaは3つのパーツから構成されていて、CPUなどが入った本体、ポインティングデバイス、そしてHMDで1セットになっている。利用する場合には、HMDを頭に装着し、本体を腰のあたりに装着、ポインティングデバイスを手で持ち操作することになる。CPUはSH4 120MHzで、メモリは32MB、32MBのROMを内蔵している。注目したいのは、本体にコンパクトフラッシュのソケットが用意されていることだ。これにより、家では無線LANカードを装着し、外出先ではPHSカードを使う、ということもできるほか、CFをさしてMPEG-4ビデオを鑑賞するという使い方だってできる。そういう意味では無限の可能性を秘めた製品と言えるだろう。

 今すぐにでも売って欲しい製品だが、日本では日立製作所が発売することになる。日立の担当者によれば、「日本ではディスプレイをSVGAにするため、1,499ドルよりは高めな価格設定になるが、30万円を超えることはない」としており、30万円出せば購入できるようになるわけだから否が応でも期待は高まる。日立によれば当初は企業のバーチカル(特定用途)向けに販売が行なわれるという。例えば建築現場などで、デザイナーからの指示書をHMDで見ながら作業を行なうなどの用途に対する需要は非常に高いそうで、すでに多くの引き合いが来ているという。将来的にはコンシューマへの展開も考えているということだが、ぜひ1日も早く市場に投入して欲しいものだ。

Xybernautのpoma。HMDを頭に着け、腰には本体を、そしてポインティングデバイスを指で操作する 本体にはコンパクトフラッシュのスロットが用意されており、無線LANカードなどをさして利用する

●MicronとGatewayがモバイルPentium 4を搭載したマシンを展示

 Intelは自社ブースで、Pentium 4プロセッサがサポートしているストリーミングSIMD拡張命令2(SSE2)に対応したアプリケーションなどのデモを行なった。そこで利用されていたのが、昨日参考出品が行なわれたばかりのモバイルPentium 4-Mを搭載したノートパソコンで、東芝、Micron、Gatewayという3社のモバイルPentium 4-Mノートパソコンが展示された。

 昨日はブランド名がわからなかった東芝のマシンは、Satelliteシリーズで、SDカード、スマートメディアカードのデュアルスロットが用意されているのが特徴だ。MicronのTransPort GX3は、指紋認識の機能が標準で用意されている。Gatewayの製品名は不明だが、FDD、DVD-ROM/CD-RWコンボドライブという3スピンドルの標準的なA4ノートパソコンだ。

東芝のモバイルPentium 4-Mを搭載したSatellite(モデル名不明)。SDカードとスマートメディアの両方のメディアが使えるようにデュアルスロットになっている

MicronのTransPort GX3は指紋認証の機能が標準で用意されている ゲートウェイのモバイルPentium 4搭載ノートパソコン

●シャープはWizardの最新版を展示

 このほか、シャープは米国向けザウルスを展示したほか、PalmライクなデバイスとしてWizardブランドのOZ-80というPDAを展示していた。OZ-80はスケジュール帳、アドレス帳、ToDoなどの機能を備えたPDAで、PC上のOutlook、Outlook Express、Netscape、Eudora Proなどとデータの同期が行なえるようになっている。シャープの担当者によれば日本での発売の予定は全くないとのことだ。

シャープのWizard。Palmライクなユーザーインターフェースを採用。画面は160×160ドットで、10MBのメモリを搭載し、単4電池2本で駆動される


□2002 International CESのホームページ(英文)
http://www.cesweb.org/

(2002年1月10日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]


【PC Watchホームページ】


PC Watch編集部 pc-watch-info@impress.co.jp

Copyright (c) 2002 impress corporation All rights reserved.