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Intelは、明日より開催される2002 International CESの展示会に先だってラスベガス市内のホテルで開催された“Smart Home media reception”において、これまでモバイルNorthwoodのコードネームで呼ばれてきたモバイルPentium 4プロセッサ-M(以下モバイルPentium 4-M)を搭載したノートPCを初めて参考出品した。
これまで、ほとんどデスクトップPCに近い状態でのデモはあったが、実際の製品がデモされたのは今回が初めてであり、明日から公開される展示会場ではモバイルPentium 4-Mを搭載したノートPCが多数展示される見込みだ。
●モバイルPentium 4-M/1.7GHzを搭載した東芝製のノートPCを展示
モバイルPentium 4プロセッサ-M 1.7GHzを搭載した東芝のノートPC。ブランド名、型番、価格、発表時期などは不明 |
本製品について、会場で説明していたIntelモバイルプラットフォームグループ マーケティングマネージャのドン・マクドナルド氏は「このモバイルPentium 4-Mは3スピンドルのA4フルサイズのみならず、2スピンドルのA4スリムにも搭載されることになる。発表時期は現時点では2002年前半になり、クロックは1.5GHz以上になる」と説明した。なお、搭載マシンに関しては今回展示されていた東芝以外にも多数用意されているそうで、「明日以降のCESの展示会場で、ほかのOEMメーカーのモバイルPentium 4-M搭載マシンが展示されるだろう」(マクドナルド氏)とのことで、CES展示会場においてモバイルPentium 4-Mを搭載したマシンが多数展示される可能性が高い。
なお、会場にはすでに昨年の8月に行なわれたIntel Developer Forum Conference Fall '01で公開されていたモバイルPentium 4-Mが展示されていた。パッケージはμFCPGAパッケージ(478ピン)となる。モバイルPentium III-Mには、μFCPGAとμFCBGAの2つのパッケージが用意されていたが、ある情報筋は、Intelは当初はμFCPGAパッケージのみで、μFCBGA版は用意されないと説明していると語っていたが、その情報が裏付けられた格好だ。
モバイルPentium 4プロセッサ-M。パッケージは478ピンのμFCPGAで、μFCBGAは用意されない | デバイスマネージャのプロパティでクロックを表示したところ。1.7GHzと表示されており、1.7GHzのモバイルPentium 4-Mが搭載されている可能性が高い |
●3月に1.7GHzのクロックで投入されるモバイルPentium 4-M
市場の半分以上をノートPCが占める日本では、ノートPCにも高いCPU処理能力をもたらすことになるモバイルPentium 4-Mについての関心は高い。ここでは情報筋などにより、これまでにわかっているモバイルPentium 4-Mの姿についてまとめておこう。
・モバイルPentium 4-M(コードネーム“モバイルNorthwood”)
・クロック:1.7GHz、1.6GHz、1.5GHz、1.4GHz(登場時)
・マイクロアーキテクチャ:NetBurstマイクロアーキテクチャ
・システムバス:400MHz
・L2キャッシュ:512KB
・省電力機能:拡張版SpeedStep、Deeper Sleep
・パッケージ:μFCPGA(478ピン)
・対応チップセット:Intel 845MP、Intel 845MZ
注目されるクロックだが、登場時は1.7GHz、1.6GHzの2グレードが用意され、すぐに1.5GHz、1.4GHzの2グレードが追加される。L2キャッシュは、デスクトップPC版のNorthwoodと同じく512KBとなり、NetBurstマイクロアーキテクチャベースとなっている。省電力の技術は昨年の7月末に導入されたモバイルPentium III-Mと同様で、拡張版SpeedStepテクノロジにより2段階でCPU負荷に応じてクロックが上下する機能に対応、Deeper Sleepモードなどを搭載する。なお、拡張版SpeedStepによる下のクロックは1.2GHzとなる模様で、電圧は上のクロックの時に1.3V、下のクロック時に1.2Vとなるという。
Intelは、OEMメーカーに対して、モバイルPentium 4-Mのリリース時期は第1四半期の終わりと説明している模様で、ある情報筋によれば、2月のIntel Developer Forumでお披露目し、3月上旬に正式発表というスケジュールが組まれているという。つまり予定通りに進行すれば、3月の半ばにはモバイルPentium 4-Mを搭載したノートPCを手にすることができるようになる可能性が高い。
また、第3四半期には1.8GHzを追加し、第4四半期には2GHzに到達するという。昨年にはデスクトップPCのCPUが2GHzに到達したばかりだが、モバイルの方も約1年遅れで2GHzに到達することになる。
●ICH4のモバイル版となるICH4-Mの計画も進行中
チップセットはすでに明らかになっている、Intel 845 Bステップのモバイル版と言えるIntel 845MPが用意されているほか、Intel 845MPのローコスト版であるIntel 845MZが用意されている。Intel 845MPとIntel 845MZの違いは、前者がメインメモリとしてDDR200/266という200MHzと266MHzのDDR SDRAMをサポートし最大メモリ容量が1GBであるのに対して、後者はDDR200のみ、つまり200MHzのDDR SDRAMをサポートし、最大メモリ容量も512MBとなっている。
サウスブリッジは現在モバイルPentium IIIに利用されているICH3-Mが引き続き利用される。従って、登場時にはUSB 2.0のコントローラはチップセットには内蔵されないことになる。PCI拡張カードを挿すことにより簡単にUSB 2.0対応にさせることができるデスクトップPCに対して、ノートPCでは最初からUSB 2.0コントローラが搭載されていないとUSB 2.0対応にするのは難しい。そこで、モバイルこそ、早期にUSB 2.0コントローラをサウスブリッジに統合して欲しいところだが、ICH3-Mとの組み合わせではそれは実現されそうにない(もちろんメーカーが単体のUSB 2.0コントローラを搭載すれば不可能ではないのだが、コストとの絡みでハイエンド以外では難しいだろう)。
サウスブリッジにUSB 2.0コントローラが統合されるようになるのは、ICH3-Mの次世代となるICH4-Mとなる。ICH4-Mでは、デスクトップPC向けのICH4と同じように、USBコントローラの構成がUSB 2.0コントローラ×1、USB 1.1コントローラ×3となっている。すべてのUSBコントローラが2.0対応ではないのは、ICH4/-Mとノースブリッジを接続するHubインターフェイスというバスの帯域幅が266MB/secであるためだという。仮にUSB 2.0コントローラ×4という構成にすると、各コントローラが480Mbps(=60MB/sec)を最大で消費することになるため、すべてのコントローラに最大の負荷がかかると60MB/sec×4=240MB/secとなり、Hubインターフェイスの帯域幅(266MB/sec)のほとんどを消費してしまうことになる。このほかにも、IDE HDDやPCIデバイス、EthernetなどがHubインターフェイスの帯域幅を使うのに、それぞれ十分なパフォーマンスを発揮できなくなってしまう。このため、USB 2.0コントローラ×1、USB 1.1コントローラ×3というやや変則的な構成になっているという。
現在IntelはICH4-Mのプロジェクトを進行させており、サウスブリッジがICH4-Mに切り替わる段階がノートPCにもUSB 2.0コントローラが内蔵される時期ということができるだろう。現時点ではこの時期がいつであるのか、明確な情報は伝わってきていないが、可能性として高いのは2003年第1四半期に投入される予定のモバイルPentium 4向け統合型チップセットのMontara-GML、あるいは同じく2003年の前半に投入が予定されているBanias用のチップセットであるOdemなどに採用されるというストーリーだ。となると、2003年までノートPCではUSB 2.0のデバイスはUSB 1.1モードで利用しなければいけなくなってしまうだけに、早期のICH4-Mの投入を期待したいところだ。
□2002 International CESのホームページ(英文)
http://www.cesweb.org/
(2002年1月9日)
[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]