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DVD+Rに対応したDVDR985 |
オランダのRoyal Philips Electronicsの米国法人であるPhilips Electronicsは、2002 International CESの会場において記者会見を開催し、DVD+Rの読み書きを可能にした書き換え型DVDレコーダ「DVDR985」を発表した。
DVD+Rは、DVD+RWのライトアットワンス版(一度だけ書き込みが可能な)メディア。DVD+RWに比べてDVDプレーヤーやDVD-ROMドライブなどとの互換性が向上するため、DVD+RW陣営がDVD-RWやDVD-RAM陣営と戦う際に大きな武器になると考えられていた。
●「ほぼ100%に近い互換性が実現できる」とDemuynck副社長
Royal Philips Electronicsの上級副社長であるGuy Demuynck氏 |
Royal Philips Electronicsの上級副社長であるGuy Demuynck氏は「DVD+Rはすでに存在しているプレーヤーに対しても、今後登場するプレーヤーに対してもほぼ100%に近い互換性を実現できる」と述べ、DVD+RがDVD+RWにつきまとう「互換性」という問題をクリアにする技術であると強調した。なお、DVDR985の価格は999ドルで、投入時期などについては明らかになっていない。
●PC用のDVD+R対応ドライブも2002年中に登場
現時点ではDVD+Rに書き込み可能なPC用のドライブについてのスケジュールは明らかにはなっていない。ただ、Philipsでは同社が発売しているDVD+RWに対応した「DVDR1000」を簡単にDVD+R対応にアップグレードできると説明しており、PC用のDVD+RWドライブに関しても小さな改良などによりDVD+R対応にすることもさほど難しくはないことが予想できる。実際、Philipsの説明員は「PC用のドライブも2002年中には登場するだろう」と述べ、DVD+R書き込みに対応したドライブの登場もそう遠くないとしている。
DVD+Rに書き込みができるようになれば、“DVD-Rに書き込めないためにDVD-RWドライブやDVDマルチドライブに比べて互換性が……”というDVD+RW陣営の弱点が解決できる。DVD+RW陣営には、DELLという世界最大のPCメーカーが参加しているほか、リコー、ヤマハなどCD-RWドライブで70%のシェアを占めるドライブメーカーが参加している。DVD+Rが早い時期に登場すれば、書き換え型DVDの有力な候補となりえるだろう。
●MultiChannel SACDやインターネット対応コンポなどが展示
このほか、Philipsの発表会では、MultiChannel SACD(Super Audio CD)対応CDプレーヤーであるDVD962A、インターネット対応ステレオコンポのMC-i200、Photo CDの再生に対応したPhoto eXpanium eXP601などのPhilipsのコンシューマ向けデジタル製品が展示されていた。
DVD962Aでは、DVDビデオプレーヤーとしての再生機能をもちながら、MultiChannel SACDという次世代CDの規格に対応している。SACDはPhilipsとソニーなどが推進している次世代CDの規格で、松下電器などが推進するDVD-Audioと次世代の座を巡って激しい争いが繰り広げられている。
質疑応答では「DVD-Audioをサポートする予定はないのか? 」という質問も飛び出したが、「SACDの方が技術的に優れており、DVD-Audioをサポートする理由はない」と述べ、サポート予定が全くないことを強調した。
MultiChannel SACDに対応したDVD962A | インターネットに対応したステレオコンポのMC-i200 |
□2002 International CESのホームページ(英文)
http://www.cesweb.org/
(2002年1月8日)
[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]